ベンチャー 転職

【こんなに低いの?】転職前に絶対理解したい。ベンチャーの年収事情

多くの人がベンチャーに転職するか考える際、年収面を不安に感じると思いますが、実際どれぐらいなのか、そもそもなぜ低いのか、どういう企業が特に低いのかなどについて整理しようと思います。

この記事を書いた人キャリアブック編集長
森田(仮名)

人材系ベンチャー出身。これまでに人事やマーケティング、営業など様々な職種を担当。現在は様々なベンチャー企業でフリーランスとして活動中。これまでの経験の共有とアウトプットの場としてキャリアブックスを運営。

ベンチャーの年収事情

実際どれぐらいなのか

会社名 平均年収
Yahoo(ヤフー 765万円
ディー・エヌ・エー 757万円
楽天 705万円
サイバーエージェント 709万円

意外と低くない?

まずは、給与水準が公開されている上場しているメガベンチャーの平均年収を見てみましょう。

国内トップのメガベンチャーの平均年収で700万円ほどになっています。思ったよりも高いなと感じた方もいらっしゃるかと思いますが、これはあくまでメガベンチャーの水準です。メガベンチャーは、マインドや仕事の進め方こそベンチャーの文化ですが、安定性や組織の大きさは大企業のそれです。

採用力を強化するため、体力のあるメガベンチャーはあらゆるベンチャーの中でも年収は高めに設定されるようになっていることから考えると、およそほとんどのベンチャー企業の平均年収は、それより低い500~600万円前後ということになります。年齢が低い20代中心の会社だともっと低いこともまりますね。

人によっては200万ダウンも

ベンチャー企業と言ってもいろいろな会社があるので、ケースバイケースですが、例えばある程度の大企業の総合職の方だと、ベンチャーにくると大体ボーナスを含む年収で100~200万円ほど低くなる可能性もあると思っておいて良いと思います。

特に創業魔もないベンチャーはボーナスなども一切ないため、年収はかなり下がります。大企業の福利厚生は、あらゆる面で非常に充実しています。福利厚生や退職金の有無も考慮すると、やはりベンチャーの方が総合的に劣っていると思います。

ストックオプションは、あまりあてにするべきではない?

よく、ベンチャーは給料が低い代わりにストックオプションがある。という声を聞きます。

前提として、ストックオプションなどの精度は会社の資本政策によって様々ですが、ほとんどの場合、従業員としてはストックオプションをあまりあてにするべきではないと個人的には思います。

ストックオプションは、入った時期や役職によって割合が決まりますが、大体一桁番目の社員で1%前後、数十番目の社員として一般メンバーとして入った場合の持ち分はそれよりかなり少なくなり、そして大事なのは、会社が上場するなどの決まった目標をクリアできなければ使えないということです。

もし実際に上場しても、ロックアップという上場後在籍期間のしばりなどもあるため、ストックオプションを重視しすぎると、そのためにキャリアを遅らせるようなことにもなりかねず、返って足かせにもなりえます。そのため、個人的にはベンチャーに入る際、ストックオプションをもしもらってもないものとして扱えるぐらいの気構えがあった方が良いと思っています。

なぜ年収が低くなるのか

売上が不安定だから

ではなぜ、年収は下がるのでしょうか。ベンチャーの給料を考える際は、「その会社がPMF(プロダクトマーケットフィット)しているかどうか」を考えるようにしましょう。PMFとは、その会社の事業が、市場に受け入れられている状態。つまり、顧客が獲得できており、ある程度継続的に売上が見込める状態にあること。を指します。

PMFしていない状態だと継続的な売上が見込めないため、社員の給料などの固定費も、創業者の自己資金や、借り入れ、調達資金から得ることになりますが、その状態だと、なるべく最低限に給料を抑える必要があるのです。

逆に、PMFが見えた段階で、社員の給料のベースが一気に引き上がることもあります。一気に10万円上がることもあります。それは、PMFが見えた段階で、「採用を強化する」事が多いため、より採用しやすくするために、見込める売上から適切な給与テーブルを作成することが多いためです。

給料は固定費だから

会社のあらゆるコストの中で、給与は固定費に分類されます。

特に日本では、正社員として採用すると解雇することは難しく、一度あげた給与テーブルを下げることもできません。そもそもいつ成功するかわからない、いつピンチが訪れるかわからないベンチャーにとっては、ピンチのときに下げられないコストを増やすことは避けなければなりません。

会社ができるだけ長く生き残れるようにするため、一緒に挑戦してくれる社員との約束を守るため、給料をあげないということなのです。

ただ一方で、最近は以前よりもベンチャー企業への投資が活発になり、最初からある程度の運営費用が確保できているベンチャー企業もあり、またベンチャー界隈での人材の育成も進んできたため、給与テーブルをあげるリスクをとっても、より優秀なメンバーで事業をスタートすることを優先するケースも増えてきています。

会社による年収の違い

いわゆる人気度での違い

幅広いベンチャー企業がある

ベンチャーと言っても、幅広い企業があります。まず目に入るような、何億円も調達していたりする人気ベンチャー企業もあれば、いわゆる受託開発を中心に事業展開をしているベンチャー企業、ECや小さなWEBサービスを運営している企業もあります。

どのようなベンチャーが人気かというと、実績が最低限あり、「その時の勢い」に優れているベンチャーです。勢いとはサービス領域の世の中の注目度だったり、売上の成長率だったり、時には大きな調達を成功させたときだったりします。

人気のベンチャーは提示年収が高い

そして、人気のベンチャー企業は年収が高い傾向があります。それは、より成長するために、「より高いレベルの人材を採用する必要があるから」です。他社に取られるぐらいなら、多少給料を上げても優秀な人材を採用し、事業のスピードを上げていくことを選ぶのです。

もちろん人気になる時点で、今後かなり売上が見込めたり、何十億円も調達していたりするので、キャッシュ面でも他の企業よりも給料が出しやすい状態にあるためでもあります。

人気のベンチャーは質の高い人材が集まる

ただ、当然ですが、人気の高いベンチャーはレベルの高い人材を採用する傾向があります。実力主義の世界なので、肩書だけではありませんが、メディアでバンバン取り上げられるような人気ベンチャーは、他のベンチャーから経験者や、ベンチャー未経験であれば大企業出身者を採用する傾向が強いです。ベンチャーとはいえ、高い年収を手に入れるためには、よりパフォーマンスの高い人材であることが求められます。

ベンチャーに転職しようと思って、とりあえず聞いたことのある会社に応募してあっさり撃沈。。。ということも多いですが、世の中にはパットした人気はないけど、着実にビジネスを展開しているベンチャーもありますし、「人気」であることが必ずしもあなたにとって理想的な環境であるとは全く限りません。自分にあった会社選びが最も大事です。

ステージごとに考える年収事情

ベンチャーの年収は、会社のステージに大きく依存します。実際にベンチャーに転職するときは、「規模ではなく、その会社が今どのステージなのか」を考えましょう。

シードステージ サービス構築段階で売上はゼロからほとんど立っていない状態。サービスを軌道に乗せるため、懸命に努力している。社員数は0~10人
アーリーステージ 会社として主軸に据える事業の売上が少しずつ立ち始め、まだPMF仕切ったとはいえなくても、売上の拡大に伴って徐々に人が必要になり、人が増えてくる。社員数は10~30人前後。
ミドルステージ 主力の事業のPMFしたといえ、ある程度の規模の売上が立っている状態。このタイミングで大きめの調達をするところもある。社内の雰囲気としては、このタイミングのあとのオフィス移転で環境がかなり良くなり、福利厚生も充実しはじめる。社員数は30~100人前後
レイターステージ この規模になるとベンチャー企業としては相当大きな規模。安定した事業を持っており、組織も大きい。その分ミドルステージと比べて、定例業務なども多くなっているが、大手企業や中小企業に比べるとまだまだチャレンジングな仕事は多い。

シード、アーリーステージはかなり少ない

アーリーステージ以前は、事業・キャッシュフローがまだまだ安定していないため、会社は「キャッシュを燃やしながら耐えている」状態です。当然その時期の給与レンジはかなり低く、会社にもよりますが、代表でも300万円代の会社もあるほどです。一方この時期はストックオプションの割合はかなり高くなる傾向もあります。

アーリーステージ以前のスタートアップ・ベンチャーに関しては、今給料が低くても、PMFすれば、短期間で大きく水準が改善する可能性があります。私自身、社会人3年目の時にシードステージのスタートアップに転職した際は、前職の年収が500万円だった時から、360万円まで給与が落ちましたが、その後半年で会社が成長し、540万円にまで年収が戻った経験があります。

ミドルステージで大きく変化

会社が成長すると、徐々にベースのテーブルが引き上げられる形で昇給となりますが、給与水準や福利厚生が大きく変わるのはミドルステージ以降です。ミドルステージになると、PMFしているのである程度キャッシュフローの見込みがあるのに加え、本格的な採用開始に向けて、採用市場で最低限競争力を持った給与水準に引き上げが行われるためです。

まとめ

転職時に注意するポイント

今の額面ではなく、これからどうなるかが重要

ベンチャーの給与水準は、会社の成長性が全てです。

例えば今年収650万円の人が、今アーリーステージのA社と、ミドルステージ後半のB社の内定をもらい、A社は年収450万円、B社は550万円提示されたとします。額面上は100万円の差があり、両者ベンチャーですが、判断基準は、「より成長する見込みが高いのはどちらか」で選ぶべきだと思います。

もしA社が1年以内にPMFに成功すれば、今の額面上の違いは1年後にはほとんど無くなるでしょうし、早いタイミングで入社することになるので役職にもつくやすくなります。加えてPMF以前の貴重な経験を得ることができます。

B社の規模だと、これ以上ベースの水準は大きく変わらない可能性があります。ただ、もしB社がよりさらに成長し、レイター、上場するような未来が見えるのであれば、組織も大きくなり、役職についたり、ストックオブションなどで数百万円ほど一気にもらえる可能性もなくはありません。

判断できない場合は、専門家に尋ねよう

とはいえ、これから会社がどうなるのかを予測することは、誰にもできませんし、初めてベンチャーに転職するあなたにとってはほとんどわからないことだらけだと思います。そんな時は、会社に将来どうなるかの展望を聞いた上で、一人で答えを出そうとせず、業界に詳しい友人や専門家に聞いてみることをおすすめします。

ベンチャーへの転職は、リスクが伴ったものなので、面倒くさくてもなるべく感覚的な判断を行わないようにしましょう。

転職エージェントは相談相手には向かない?

転職エージェントは転職活動を伴走してくれる心強いパートナーです。

ただし、転職エージェントに最終的な年収でどちらを取るかを聞く場合は、少し注意して意見を聞いてみてください。なぜなら、転職エージェントは「今年収の高いところに転職してもらったほうが、エージェントの売上が高くなる」という仕組みがあるので、彼らとしてはいま年収が高い方を押してしまう力学が働くためです。もちろんあなたのことを優先して答えてくれる担当者も多くいますが、その意識があるかもしれないことは認識しておきましょう。

最終的には自分次第

結局は、将来性に対するリスクと、会社が成長することで得られるリターンのバランスで選ぶ事が正しい選択です。ただそのリターンには、年収だけではなく、仕事内容の魅力や、経験も含まれているはずです。

もちろん業界に詳しければ、知らない人よりも正確な分析をすることができますが、どれだけベンチャー企業に詳しくても、最終的にどうなるかは誰もわかりません。自分が悩める限り悩んだと思ったら、最後は自分の直感で選ぶ歯科ありません。

年収は、自分であげられる

年収が低い会社を選んだのなら、入社後に自分で上げればよいだけの話です。営業職でも、数人のチームであれば、自分のパフォーマンス次第で会社の売上を大きく左右することは実際できますし、ディレクター職でも、自分の企画が会社の成長のきっかけになることもあります。

自分の頑張り次第で会社の未来を本当に決められるのが、ベンチャーの良いところなのですから。