転職時の手続き

【完全マニュアル】転職や退職時の税金・保険・年金手続きガイド

勤務していた会社を転職・退職すると、やらなければならない手続きが一気に押し寄せてきます。ご自身で手続きをされる場合、どこでどのような手続きをしなければならないか把握しておかないと無用の混乱をきたすことにもなりかねません。

そこで、今回は転職・退職にかかる税金・年金・保険の手続きについてまとめます。

転職・退職時の「所得税」の手続き

就職している場合、給与や賞与等にかかる所得税は、本人負担分を勤務先の会社が天引きして会社で取りまとめて納付してくれます。いったん会社を辞めると、これまで天引きして支払って納付してもらっていた所得税の取り扱いについての手続きが生じます。

年内に再就職しなかった場合の手続き

この場合は原則として確定申告が必要になります。翌年2月16日から3月15日まで(確定申告の開始日や終了日が土・日の場合は次の日)の間に、住所地を管轄する税務署にてご自身で実施しなければなりません。

確定申告にあたって必要な資料としては以下のようなものがあります。

  • 確定申告書(A,Bどちらでも可)
  • 前職でもらった源泉徴収票
  • これまで負担していた生命保険料や社会保険料等の控除証明書
  • 印鑑

確定申告に不慣れな方にとっては手計算は非常に苦労しますので、国税庁のホームページで確定申告書を作成・印刷して受付に提出することをお勧めします。

国税庁:確定申告書等作成コーナー

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年内に転職した場合の手続き

前職でもらった源泉徴収票と、転職先での源泉徴収票、これまで負担していた生命保険料や社会保険料等の控除証明書によって、転職先の担当者に年末調整してもらうことができます。

ただし年内に転職した場合であっても、転職先では年末調整が終わっていた場合などは、自分で確定申告をしなければなりません。

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転職・退職時の「住民税」の手続き

住民税の場合は所得税の場合とは異なり、「前年の所得に基づいて」今年6月から翌年5月までの1年間に納付すべき住民税の総額が確定します。そのため所得税の場合よりも手続きが複雑になります。

転職後も特別徴収を継続する場合の手続き

給料から毎月負担すべき住民税を会社が天引きして納付してもらう特別徴収を継続する場合は要件がかなり限定されます。実務上はグループ会社で転籍した場合などで行われることが多いです。

退職してすぐに新たな転職先で就業開始する者が直接何らかの手続きをする必要はありません。ただし、退職した会社と転職先の会社に住民税の特別徴収を継続する旨を伝えておく必要があります。

そこで、退職した会社と転職した会社との間で情報のやり取りが行われたうえで、転職先の会社で「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を提出する必要があります。これにより、転職先でも住民税の特別徴収を継続できます。

1月から5月までに退職した場合の住民税の手続き

この場合は、前年6月から今年5月までの1年分の住民税のうちの既納付分を控除した残額を、退職する際に退職金等から一括徴収してもらうことになります。

6月から12月までに退職した場合の住民税の手続き

この場合は、今年6月から翌年5月までの1年間の住民税のうちの既納付分を控除した残額を、退職時に一括徴収してもらうか、納付書に記載されている支払月に基づいて自分で分割支払いをするか選択になります。一括徴収してもらう場合には退職前に連絡しておく必要があります。

退職後の生活資金のやりくりにかかわる問題ですので、この点はくれぐれも気をつけましょう。

住民税
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退職金に関する「所得税・住民税」の手続き

退職金にも所得税と住民税の両方がかかります。ただし、給与や賞与に係る所得税・住民税の計算とは異なり、退職金の受け取り時にそれらが課税された分を源泉徴収され、会社が納付することで課税関係は終了になります。

住民税に関しては特段の手続きはありませんが、所得税については簡単な書類の提出の有無により税額が大きく変わってきます。

「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合

住民税についてはこの書類の提出の有無に関係なく、退職金に係る税金を計算する元となる金額(退職所得:千円未満切り捨て)×10%により計算されます。

この点、所得税に関してはこの書類を提出することにより、退職所得の計算にあたって優遇措置を受けられます。

退職所得=(退職金総額-退職所得控除)÷2

退職所得にかかる税金は、退職所得の多寡により税率が変わってきます。

参考:国税庁丨令和元年分所得税の税額表

「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった場合

これを提出しなかった場合、退職所得の計算にあたって「退職所得控除」と「÷2」の計算がなされなくなります。また、退職金の総額に20%を乗じた額が退職金にかかる所得税額として計算されてしまいます。

この書類を提出したかどうかで、退職所得にかかる所得税の計算が大きく変わります。必ず提出するようにしましょう。

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転職・退職時の「健康保険」の手続き

ケガや病気をした場合に病院へ通院すると「保険証」を提示することで、本来支払うべき医療費の原則3割しか支払わなくて済みます。残りの7割部分の大半は労働者と会社が負担した健康保険料から支払われています。

就職している場合にはその者の健康保険料について労使折半で負担していますが、会社を退社すると健康保険料の負担に関する手続きが必要となります。

これまで勤めていた会社を退職し、次に転職するまでに1日でも間が空く場合には、以下のうちいずれかの手続きをしなければなりません。

  • 国民健康保険に加入する
  • 任意継続被保険者となる
  • 家族の扶養に入る

それぞれについてもう少し詳しく説明します。

国民健康保険に加入する

各市町村が保険者となる健康保険を国民健康保険といいます。健康保険と国民健康保険の保障内容にはほとんど差異はありませんが、保険料の負担が加入者のみになります。基本的に前年の所得額や、世帯人数などで負担額が変わりますので、詳細な負担額は各市町村の国民健康保険の窓口でご確認ください。

手続きにあたっては、退職日の翌日(健康保険の資格喪失日)から14日以内に各市町村の国民健康保険の窓口で健康保険被保険者資格喪失証明書、退職証明書、離職票など退職日のわかる書類を持参したうえで、国民健康保険加入届出書を提出します。

任意継続被保険者となる

退職してもこれまで加入していた健康保険に継続して加入することが可能です。保険料の負担が加入者のみになりますので、単純計算でこれまでの倍の保険料(実際には上限規定や、別途の規定によりこれまでの倍にはならないことが多い)です。詳細は退職した会社の担当者に問い合わせてみてください。

手続きにあたっては、退職日までに被保険者期間が2か月以上あった者が、退職日の翌日から20日以内に、居住地の都道府県を管轄する協会けんぽ支部へ「健康保険任意継続被保険者資格取得申出書」を提出します。

【注意】

国民健康保険に加入するか任意継続被保険者になるか、基本的に保険料負担の兼ね合いで判断することになります。ただし、「退職前から傷病手当金や出産手当金といった所得保障を目的とする給付を受けていた方」は、任意継続被保険者となった場合でも継続してこれらの給付を受けることができますので、任意継続被保険者となることをお勧めします。

家族の扶養に入る

退職したご自身の収入などの条件によって、配偶者その他同居家族が加入している健康保険の被扶養者に入ることもできます。扶養に入ることができる場合にはご自身の保険料負担はありませんが、扶養に入るための要件は以下の通りでかなり厳しいです。

手続きにあたっては、被扶養者に異動があった日から5日以内に、被保険者が勤務している事業所へ「被扶養者(異動)届」を提出します。

【被扶養者の要件】

  • 後期高齢者医療制度に加入していないこと
  • 被保険者の収入によって生計を維持されている者であること
  • 被保険者の収入の半分未満であって年間収入が130万円未満であること、もしくは60歳以上や障害年金受給対象者にあっては被保険者の収入の半分未満であって年間収入が180万円未満であること
  • 配偶者、子、父母、祖父母、兄弟姉妹については同居の有無は問われないが、それ以外の三親等内親族については同居していること ※この点は平成28年10月に改正された部分です。

所得税法上の扶養要件と健康保険法上の扶養要件は異なりますのでご注意ください。

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転職・退職時の「雇用保険(失業保険)」の手続き

雇用保険は、何らかの形で就業できなくなった時の所得補填や、国や地方などのレベルでの雇用機会の増大などの目的を達成するために運用されている公的保険の1つです。週の所定労働時間が20時間未満の場合や31日以上勤務する見込みがない場合は原則として雇用保険に加入しなければならず、従業員と会社との折半で雇用保険料を負担しています。

退職後には雇用保険の取り扱いに変更が生じますので、その手続きについて解説します。

次の就職先が決定している場合

この場合、退職の際に受け取っている「雇用保険被保険者証」を次の就職先の担当者へ提出します。その書類に記載されている事項をもとに、雇用保険の被保険者として引き続き加入する旨の手続きを行います。

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次の就職先がすぐに決定しない場合(失業保険の手続き)

「働く意思と能力がある」場合であってもすぐに次の就職先が決定しない場合があります。その場合は居住地を管轄するハローワークで手続きを行うことにより失業保険(正式には基本手当という)を受給することができます。

失業給付の受給要件

雇用保険の被保険者であれば、失業したときに必ず失業給付を受け取れるわけではありません。要件が細かく規定されているので確認しましょう。

  • 雇用保険の加入期間が1年以上あること
  • 原則として離職以前の2年間に、11日以上勤務した月が12か月以上あること
  • 積極的に働く意思及び能力があること(病気等で働けない人は受給不可)
  • ハローワークで定期的に求職活動をする、もしくは公共職業安定所長が指定する職業訓練を受けること(これらを行わない場合には支給制限の対象になる)

失業給付を受け取るために必要な書類

全部がそろわなくても手続きできることはありますが、遅滞なく手続きが進行できるようにきちんと準備しておきましょう。

  • 雇用保険被保険者証
  • 離職票1,2
  • 身分証明書
  • 証明写真2枚(縦3cm×横2.5cm)
  • 印鑑
  • 自分名義の通帳

失業給付受給までの流れ

①受給資格決定の手続き 上記書類を住所地を管轄するハローワークへ提出
②雇用保険受給者初回説明会へ参加 日時はハローワークで指定されます。このときに「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡されますので、失業認定日にこれらを持参します。
③失業の認定 原則として4週間に1回、指定された日時にハローワークに出向いて、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を提出します。そこで求職活動状況(原則として前回の失業認定日から今回の失業認定日の前日までに2回以上)が確認されます。
④失業手当の受給 失業認定日から1週間以内にハローワークから失業給付が振り込まれます。失業認定日から1週間以上経過しても振り込まれない場合はハローワークに確認しましょう。

失業の認定における「求職活動状況の確認」について

ハローワークから「求職活動」の定義について公表されているわけではありませんので、何をもって求職活動といえるのか判断に迷います。ただ、その目安としては「ハローワークの方で実際に求職活動をしたか確認可能かどうか」によることは明らかです。

基本的にはハローワークに出向いて仕事を探し、職業相談、求人に応募することで求職活動していることが認められれば、担当者から雇用保険受給資格者証の裏面に求職活動の確認印が押されます。

ただ、現実にはハローワーク以外でも転職サイトや求人誌で求職活動されることも多いでしょう。その場合は実際に応募しないと求職活動とみなされません。ハローワークを通さずに応募した場合は、その会社名と連絡先をハローワークの担当者に伝えると、応募先に確認の上で求職活動があったことの確認をしてくれます。

その他にハローワークが紹介する職業訓練に参加したり、仕事に直結する資格試験、検定試験を受験した場合(合否は関係ない)も求職活動として認めてくれます。

もし、自分がとった行動が求職活動として判断されるかどうか、求職相談の際に確認してみてください。

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転職・退職時の「年金」の手続き

就職している場合、原則として厚生年金への加入が義務付けられています。原則として65歳以上に達した場合や、一定程度の重度障害に該当した場合、被保険者ご自身が亡くなった場合に年金として支給されるものです。

毎月支払われる給与の中から労使折半で負担していますが、会社を退職した場合には年金に関する手続きが必要になります。

退職後1か月以内に転職する場合

退職時に年金手帳を返却してもらうので、転職先にその年金手帳を提出します。そうすることで転職先で手続きが進められます。扶養に入られている配偶者の方がいらっしゃれば、その方の年金手帳も併せて提出します。

次の就職先が決定していない場合

この場合はご家族の勤務状況や収入状況などにより、2通りの方法があります。

国民年金に切り替える

この場合は退職した日の翌日(厚生年金の資格喪失日)から14日以内に居住地の市区町村役場へ国民年金への国民年金の種別変更手続きを行わなければなりません。

手続きの際に持参する書類には以下のものがあります。

  • 年金手帳
  • 離職票や退職証明書など退職日の証明ができるもの
  • 印鑑

配偶者の方が退職者の扶養に入っていた場合は、配偶者の方も国民年金に加入しなければなりません。その場合は配偶者の方の年金手帳、委任状も必要になります。

家族の扶養に入る

健康保険の場合と同様で、退職したご自身の収入などの条件によって、配偶者その他同居家族が加入している厚生年金の被扶養者に入ることもできます。扶養に入ることができる場合にはご自身の保険料負担はありません。厚生年金の扶養に入るための要件は、健康保険の場合と同じです。

手続きにあたっては、被扶養者に異動があった日から5日以内に、被保険者が勤務している事業所へ「第3号被保険者関係届」を提出します。この書類は健康保険法の「被扶養者(異動)届」と同一の書類になっていて、健康保険で被扶養者(異動)届」を出すと、厚生年金の「第3号被保険者関係届」も提出したことになり、業務の効率化を図られるようになっています。

【マニュアル】転職・退職時の手続き一覧表

転職・退職時に必要な手続きについてご説明しましたが、文章だけだとわかりづらいところもあります。必要事項を一覧表にしましたので、効率的な手続きを行うための参考にしてください。

転職・退職時の所得税

どのような場合に どんな手続きをするか?
年内に再就職していない 居住地を管轄する税務署にて自分で確定申告
年内に転職した 転職先の会社で年末調整してもらう

転職・退職時の住民税

どのような場合に どんな手続きをするか?
転職後も特別調整を継続 転職前・転職先にその旨を伝えておく(その後は会社が手続きを行う)
1月から5月までに退職 退職先の会社に退職金等から一括徴収して納付してもらうのみ
6月から12月までに退職 退職する会社で一括徴収か自分で分割納付

退職金に係る所得税・住民税

どのような場合に どんな手続きをするか?
退職所得の申告書を提出する 所得税については軽減措置を受けられる。住民税については一律10%
退職所得の申告書を提出していない 所得税については軽減措置を受けられない。住民税については一律10%

転職・退職時の健康保険

どのような場合に どんな手続きをするか?
国民健康保険に加入 居住地の市町村役場にて自分で種別変更の手続きをする
任意継続被保険者になる 退職する会社で任意継続被保険者の資格取得手続をしてもらう
配偶者の扶養に入る 配偶者が勤務している会社で扶養者異動に関する手続きをしてもらう

転職・退職時の雇用保険(失業保険)

どのような場合に どんな手続きをするか?
次の就職先が決定している場合 転職先に雇用保険受給資格者証を提出する
失業給付を受ける場合 居住地を管轄するハローワークにて自分で受給資格決定の手続きを行う

転職・退職時の厚生年金

どのような場合に どんな手続きをするか?
退職後1か月以内に転職する 転職先に年金手帳を提出する
国民年金に切り替える 居住地の市町村役場にて自分で種別変更の手続きをする
配偶者の扶養に入る 配偶者が勤務している会社で第3号被保険者関係届に関する手続きをしてもらう
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まとめ

転職や退職は人生の中で何度も起こる出来事ではありません。

ただ、一度退職を決めるとここには記載していない社内での手続きに加えて、ここで記載した税金や年金、保険に関して必要な手続きが求められます。

これらの手続きをできるだけ早く終わらせて転職先の仕事に慣れることに集中できるよう、こちらの記事がそのお役に立てれば幸いです。