転職時の手続き

転職・退職時に必要な雇用保険被保険者証の取り扱いを解説!

これまで勤めていた会社を転職・退職した後には様々な手続きが必要になります。その1つに雇用保険に関する手続きがあります。その際に必要な書類の1つとして「雇用保険被保険者証」というものがあります。転職や退職を経験したことのない人には、たぶんこのようなものの存在すらご存じでないと思います。

そこで、雇用保険の概要や転職・退職後に必要となる雇用保険被保険者証、雇用保険に関する一連の手続きについて解説いたします。

そもそも雇用保険って一体何?

雇用保険とは、

  • 雇用保険とは失業等により雇用の継続が困難になったときの所得の保障、自ら職業に関する教育訓練を受けたときの雇用の安定や就職の促進
  • 失業の予防及び雇用の是正、雇用機会の増大、労働者の能力の開発・増大などの目的を達成するために国が行う事業

これらの目的を達成するために行われるものです。

雇用保険という言葉を聞くとどうしても、失業したときの一時期の生活保障の意味合いが強いですが、それ以外にも重要な役割を果たしています。

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雇用保険被保険者証とは

厚生労働省職業安定局

労務担当者の人ならご存知かと思いますが、雇用保険に関する手続きを行うにあたって雇用保険被保険者証の存在は非常に重要なものです。これに関する手続きが進まないと従業員の方は非常に困ることがあります。

雇用保険被保険者証とはどういったものか?どのような場面で利用されるものかなど詳細に解説します。

雇用保険の被保険者であることの証明書

雇用保険の加入対象となる従業員が入社された場合には、会社がその方の雇用保険加入手続きを行います。

手続きが終了すると、従業員の方ではなく会社にその方の雇用保険被保険者証が送付されます。これによってその方が雇用保険の被保険者となるための手続きは完了します。

会社側の雇用保険の手続き

会社が行う手続きを知っておくと自分が持っている書類の意味が分かります。簡潔にではありますが解説をいたします。

入社した従業員が初めて雇用保険に加入する場合

新しく雇用保険の被保険者としての資格を取得する必要があります。そのため、従業員が入社した日の属する月の翌月10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」を作成したうえで、会社の所在地を管轄するハローワークに提出しなければなりません。なお、この場合は被保険者番号の欄には何も記入しません。

ハローワークの方で手続きが完了すると、会社にその者の「雇用保険被保険者証」と、被保険者への通知用として「雇用保険資格等確認通知書」が届きます。

転職により従業員が入社した場合

基本的に上記の場合とほぼ手続きは変わりません。ただ、新入社員の方から提出を受けた雇用保険被保険者証に基づいて「雇用保険被保険者資格取得届」を作成します。雇用保険の被保険者期間を引き継ぐために、雇用保険被保険者証の記載事項を転記しなければなりません。

従業員の手元には雇用保険被保険者証が渡されないことが多い

基本的に従業員に対しては雇用保険被保険者証を渡さずに会社で保管することが多いです。一番の理由は、会社に勤務している間に雇用保険被保険者証を使用するタイミングはほとんどないために会社で一括管理することで紛失を防止することにあります。従業員の方が自分の雇用保険被保険者証の存在を知らないことが多いのはそのためです。

ちなみに雇用保険の加入対象者とはどんな人?

雇用保険の加入に関して勘違いされている方がたまにいらっしゃいますが、会社の規模に関する要件や、会社とアルバイトやパートといった雇用形態に関する要件はありません。労働日数や、週の労働時間が極端に短くない限りは労働者の失業等について保護しようとするのが、雇用保険の目的です。原則として以下の条件にすべて該当する者は強制的に加入しなければなりません。

【加入要件】

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上である
  • 31日以上雇用される見込みがある

雇用保険被保険者証をいつ受け取るのか?

本来は従業員のものであるべき雇用保険被保険者証ですので、何らかの機会には従業員に宇渡す必要があります。従業員の方はいったいいつになったら受け取ることができるのでしょうか?

勤務先の会社を退職した場合に郵送で渡される

勤務先の会社を退職するということは退職日まではその会社と雇用契約が存在していますので、退職日までは雇用保険の被保険者としての資格を有しています。

「会社を退職した日の翌日」に雇用保険の被保険者としての資格を喪失しますので、基本的には従業員が退職したら、速やかに会社の担当者から雇用保険被保険者証が郵送されます。

雇用保険被保険者証と離職票はまったくの別物

会社を退職した際には雇用保険被保険者証と離職票が渡されます。受け取る方としては何が記載しているかあまり詳しく見ないと思いますので、最低限のことは知っておくとよいかと思います。

雇用保険被保険者証は、再就職の際に雇用保険期間を引き継ぐための資料です。

これに対して離職票は、失業給付の受給の際に必要な資料です。失業給付を受給にあたって、待期期間、失業給付の基礎となる賃金日額、受給期間を決定するための資料です。

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転職時における雇用保険被保険者証の取り扱い

転職にあたっては、雇用保険被保険者証の存在が非常に重要になります。そこで転職時における雇用保険被保険者証の取り扱いを説明いたします。

転職した場合は会社に提出

退職後、すぐに再就職するような場合はハローワークではなく、新しい勤務先の担当者に雇用保険被保険者証を提出するだけで大丈夫です。

会社の担当者は、雇用保険被保険者証に記載している被保険者番号を元に、雇用保険の再加入の手続きを行います。

雇用保険被保険者証の有効期限に注意

普段あまり問題にはなりませんが、自営業を長きにわたって続けていたものの廃業した場合や、出産・育児によってしばらく就職をしなかった場合などに問題になります。

雇用保険被保険者証は、前職を退職してから7年間となっています。そのため、退職してから7年以上経過して再就職する場合には、新たに雇用保険の被保険者資格を取得することになります。

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退職時における雇用保険被保険者証などの取り扱い

退職して次の仕事が決まっていない場合には、就職までの生活資金として失業給付(正式には基本手当)を受け取ることができます。そのためには住所地を管轄するハローワークに行って失業給付をもらうための手続きが必要となります。

ただ、会社から受け取った雇用保険被保険者証などはどうすればよいのかいまいちよくわからない人も多いと思いますので解説します。

ハローワークへ持参して失業給付の受給資格決定をしてもらう

失業給付の受給にあたって、ハローワークに雇用保険被保険者証を提出しなければなりません。そのほかにも提出するものがたくさんありますので、まとめて紹介します。持参する書類が多いですので

  • 雇用保険被保険者証
  • 離職票1,2
  • マイナンバーカード(なければマイナンバーの通知票、個人番号の記載された住民票で可)
  • ご自身名義の金融機関口座
  • 写真(縦3cm×横2.5cm)
  • 印鑑

その後は求職活動しながら失業給付を受給する

雇用保険被保険者証などの書類の役割は、失業給付の受給資格決定の段階で終了します。その後は、「失業給付の受給に関する説明会 → 待期期間の完成 → 自己都合退職の場合は給付制限(3か月) → 失業の認定」の流れにより失業給付を受給します。

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雇用保険被保険者証を紛失したら?再発行の方法

雇用保険被保険者証がない場合、どのように再発行するのでしょうか。また、何らかの事情で会社から雇用保険被保険者証を郵送してくれないケースも以下の手続きが有効です。退職後は雇用保険に関する手続きだけでなく、公的年金・公的保険に関する手続きも一斉に行う必要があります。これらの手続きが遅れないよう、すぐに手元に雇用保険被保険者証を用意しましょう。

ハローワークで再発行しよう

雇用保険被保険者証を紛失した場合、退職してから1週間ぐらいしても雇用保険被保険者証が郵送されてこない場合は、ハローワーク(公共職業安定所)に出向いて再発行の申請をしましょう。

運転免許証などの身分証明書、認印を持参のうえ、ハローワーク(どこのハローワークでもよい)の窓口にある雇用保険再交付申請書に以下の事項を記載する必要があります。

  • 氏名
  • 住所
  • 運転免許証などの身分証明書
  • 認印
  • 最後に雇用保険の被保険者として働いていた事業所(紛失した場合は現在雇用保険の被保険者として働いている事業所)の名称、住所、電話番号等
  • 被保険者番号
  • 再交付の理由

全てが記載できなくても、その個人が特定できれば再交付は可能です。

雇用保険の手続きに関するよくある質問

会社が雇用保険の手続きとしてどのようなことを行っているかわからないため、社員の方からこのような質問を受けることがありますのでご回答いたします。

履歴書の経歴と実際の経歴が違っていたら会社にバレるのか?

雇用保険被保険者証には前職の企業名や、入社時期、退職時期が記載されていますので、前職での職歴はわかります。それ以外、過去に何度も転職していたとしてもそれらがバレるということは考えにくいです。また転職先の会社が必要としているのは、これまでの雇用保険の被保険者期間を引き続ために「被保険者番号」がわかればよいので、基本的に履歴書の経歴と実際の経歴をいちいち照合する必要もありません。。

ただ、新入社員の雇用保険加入手続きにあたって不明な点があるために、直接前職の担当者に確認したり、履歴書を調べたりされることはないとは言えません。そのために絶対そのようなことがばれないと断言できません。

ちなみに、経歴を詐称することで懲戒解雇の対象になることがありますので、くれぐれも経歴を詐称しないようにしましょう。

炭研精工事件 最一小判平3.9.19 労判615-16

雇用保険被保険者証の提出はコピーでも構わないと聞いたのですが?

転職した際に雇用保険被保険者証の提出が求められますが、その際にコピーを提出すること自体に問題はありません。なぜなら、新入社員の方と雇用保険被保険者証に記載されている「被保険者番号」が把握できれば良いので、雇用保険被保険者証の提出にあたってコピーでも構わないといわれます。

派遣社員の雇用保険被保険者証は誰に交付を求めればよいのですか?

派遣社員の方の場合は、ご自身の雇用に際して派遣元企業と派遣先企業が関係しているので、どちらに何の書類の交付を請求すればよいか迷われることがあります。

派遣社員の雇用契約は「派遣元企業」と交わしています。そのため雇用保険に関する手続きも派遣元企業が行っていることから、雇用保険被保険者証の提出に関しては「派遣元企業」に交付を求めます。

間違いやすい事柄ですので気をつけましょう。

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まとめ

雇用保険被保険者証はあまり日の目を見ることがないのでご存知でないことも多かったのではないでしょうか?転職にあたっては非常に重要な書類ですので、転職の際に受け取ったら必要事項が記載されているのかよく確認してみることです。もしも疑問に感じたことがあったら前職の担当者に確認してみることです。

もし転職される際にはスムーズに手続きが進み、幸先よく仕事に集中できる環境になることを望みます。

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