転職時の手続き

【知らないと損】転職・退職したら住民税の手続きを忘れずに!住民税の仕組みや手続きを紹介!

住民税

これまで勤めていた会社を退職する際には色々と手続きをする必要があります。

具体的には、退職の手続きだけでなく、給料をもらうにあたって天引きされていた公的年金・保険、住民税に関する手続きが必要になります。特に、住民税については手続きを失念してしまうと、場合によっては日々の生活に大きな支障を生じてしまうことにもなりかねません

そこで今回は、住民税の仕組みから転職・退職する際の住民税の手続きまで詳しくお伝えします。

住民税とは

まずは、住民税に関する基本情報や納付方法の種類を押さえていきましょう。

住民税は地方自治体が徴収する税金

住民税は、都道府県や市町村が警察、消防、教育、医療、福祉その他諸々、地域住民が安心かつ快適な生活を行うのに必要な行政サービスを提供するために徴収される税金です。

住民税は納付先で分類すると、都道府県に納付される都道府県民税と、市町村に納付される市町村民税(東京23区は特別区民税)の2種類があります。これらを合算した住民税は毎年1月1日時点で住所及び所在地のある市町村に納付する義務が生じます。

また、住民税を課税の対象で分類すると、個人に課せられる住民税を「個人住民税」、法人に課せられる住民税を「法人住民税」とに分けられます。こちらの記事内で解説致しますのは、給与所得者個人に課税される「個人住民税」のことを指しています。

住民税の計算方法

住民税は、前年の所得に基づいて計算した課税の基礎となる給与所得に10%を乗じた所得税割と、所得の多寡に関係なく生じる均等割の合算額で構成されています。

所得割額は、前年の1月から12月までの所得金額をもとに、「(前年の給与所得額-所得控除額)×所得税割率-税額控除額」で計算します。

※所得税割率はほとんどの自治体で10%とされてますが、神奈川県や名古屋市等のごく一部では若干異なります。

「特別徴収」と「普通徴収」の2つの納付方法

住民税には、「特別徴収」と「普通徴収」の、2つの徴収方法があります。

毎月給与から天引きされる「特別徴収」

会社勤務の方にとってはなじみ深い納税方法だと思います。

特別徴収とは、所得税の源泉徴収のように会社が住民税を天引きして、そこから従業員の居住地の市区町村へまとめて支払う制度です。12カ月に分割された住民税が給与から天引きされ、特別徴収はその年の6月から翌年5月の12回に分けて行われ、徴収した月の翌月10日までに納付することになっています。

所得税の源泉徴収義務がある会社は、住民税に関しても原則として特別徴収も行わなければならない旨が定められています(地方税法第321条の4)。

一括または年4回で自分で支払う「普通徴収」

普通徴収は、会社が納めるのではなく、納税者自身が住民税を納める方法です。退職して自営業を始めたり、無職になった場合など、給与からの天引きが不可能な状態が続く場合にはこちらの方法で住民税を納付することになります。

納付方法は特別徴収の場合とは異なり、6月、8月、10月、翌年1月の4回に分割して納付する方法と、一括で納付する方法のどちらかを選択します。

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転職・退職後における住民税の納付、必要な手続き

では、実際に転職や退職した場合には、住民税の納付や手続きはどのようにすればよいのでしょうか。

転職・退職における住民税の納付方法

この場合の納付方法としては3つのうちから選択することができます。

  1. 特別徴収の継続
  2. 退職時の給与や退職金から一括徴収
  3. 普通徴収

特別徴収の継続

転職先の企業が決まっている場合はそこから住民税を天引きしてもらう特別徴収による納付も可能です。

原則として給与所得者は給与から住民税が天引きされるため、あらかじめ転職前の会社に対して、転職先の会社でも住民税の特別徴収してもらうように依頼することで、手続き完了後に引き続き特別徴収を継続してもらうことが可能です。

退職時の給与や退職金から一括徴収

転職前の会社に依頼すれば、退職時の給与や退職金から1年間で納付すべき住民税の残額を天引きしてもらう一括徴収も可能です。

普通徴収

ただし、退職してから転職までに日数がかかって特別徴収ができない場合や、転職にあたり特別徴収を継続する依頼をしない限り、普通徴収への切り替え手続きが行われますまた、転職した時期によっても普通徴収に切り替わることがあります。

市区町村から住民税の納付書が送られてきますので、それをもとに住民税を納付することになります。

この場合の住民税の支払い方法は、市区町村の役所で支払うほかに、銀行やコンビニでも支払うことができます。近年では納税者の利便性向上の観点から、地方自治体によりインターネットバンキングやクレジットカードでの支払いも認められようになってきました。

特別徴収の継続にあたって会社が行う具体的な手続き

住民税の特別徴収を転職先の会社でも継続できるようにするためには、給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書を転職者の居住している市区町村へ提出します。

この異動届出書には、まず転職前の会社で必要事項が記入された後、転職先の会社に送付されます。さらに転職先で必要事項に加えて、「転勤(転職)等による特別徴収届出書」の欄に必要事項が記入された後、退職日の属する月の翌月10日までに転職した従業員が居住する市区町村に提出しなければなりません。

この手続きは転職前の会社と転職先の会社の担当者が行うので、自分が直接何らかの手続きをする必要はありません。

特別徴収の手続きにあたって、転職者側が確認すべきポイント3選

手続きが正確に行われていない場合は、転職者が普通徴収により住民税を納付しなければなりません。せっかく特別徴収の手続きをしてもらうようにお願いしていたにもかかわらず、普通徴収に切り替わっていたせいで後から住民税の納付書が送られてきたら、転職者側としてもお金のやりくりに困ります。

そこで、特別徴収の手続きができているか確認するポイントをお伝えします。

まず、住民税の特別徴収の手続きがきちんと行われている場合には、市町村の手続きが完了次第、転職先の会社、納税義務者のところに住民税の特別徴収税額「決定通知書」が届きます。

税額の計算根拠などさまざまな情報が詳細に記載されているので、どこをどのように見ればよいか理解するのは少々難しいですが、最低限以下のポイントだけでも確認しましょう。以下に疑義が生じた場合は、速やかに勤務先の担当者に確認してみましょう。

  1. 決定通知書が手元に届いたか
  2. 何月にいくら天引きされるか
  3. 納付先が居住地の市区町村かどうか

決定通知書が手元に届いたか

決定通知書が手元に届くのは、退職月の翌月末までが目安となります。

先述の通り、給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書は退職日の属する月の翌月10日までに提出しなければなりません。決定通知書が退職月の翌月末までに届いていない場合、納税者としてはその後の住民税の支払いが特別徴収でよいのか普通徴収に切り替わるのか、どちらになるかで対応の仕方が変わってきます。

総務省特別徴収税額決定通知書

何月にいくら天引きされるか

毎月の納付額が記載されていれば特別徴収の継続手続きがきちんとされていることになります。6月、8月、10月、翌年1月というように納付額が記載されている場合は、普通徴収の状態になっているということです。

納付先が居住地の市区町村か

特に転職のために引っ越しした人は通知書が居住地の市区町村から送られてきたか念のため確認しましょう。

住民税は居住地の市区町村に対して納付する義務が生じますので、転居したのであれば転居先の市区町村に対して住民税を納付する義務が生じます。

手続きミスにより、まれに転居前と転居先の市区町村から同じ額の住民税の納付が求められるケースが見受けられるので、転職者側としても気を付けておきたいところです。

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時期によって異なる手続き方法

次は、転職・退職の時期によって、手続き方法が異なる点を押さえておきましょう。

時期 手続方法
1月から5月までに退職 一括徴収のみ
6月から12月までに退職 一括徴収もしくは普通徴収

1〜5月に退職する場合

この場合は普通徴収による住民税の納付はできません。そこで前年6月の段階で確定している1年間で納めるべき住民税の総額からすでに天引きして納付されている住民税総額を控除した残額を、退職前の会社から一括して徴収・納付してもらうことになります。

6〜12月に退職する場合

退職月の住民税については、退職金及び給与から天引きして納付されますが、それ以降の住民税については残額を退職する会社から一括徴収・納付してもらうか、定期的に自分で納付する普通徴収のどちらかを選択できます。

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退職金と住民税の関係性

では、長年に渡って勤務した従業員に対して退職する際に支給される「退職金」にも住民税は課せられるのでしょうか。

住民税は退職金にも課税される

退職金にかかる税金に関しては他の所得とは別に退職所得として計算します。退職金には長年会社に勤めたことによる功績の側面があり、また、リタイア後の生活を支えるための重要な資金としての側面もあります。そこで住民税を課税するにあたっては給与所得の場合よりも低額になるように、退職所得については別個の計算方法を用います。

退職金に課税される住民税額は「退職所得×住民税率(10%)」で計算します。給与所得の場合の住民税とは異なり、均等割部分はありません。

退職所得の算出方法は、以下の通りです。

退職所得=(退職金−退職所得控除額)×1/2

※特定役員等に該当する者に関する退職所得の計算については、上記の計算式から×0.5を省いた計算式で計算します。

特定役員等は誰が対象となるか

特定役員等とは、法人の取締役や監査役、執行役員などのほか、国や地方の議員や公務員等であって、かつ、勤続年数が5年以下の人のことを言います。かつて、これらの者に関しては短期間で役員等を転々として高額な退職金を得ることで税務上のメリットを存分に享受してきたことが問題となりました。

このままでは1つの会社で長期間在籍した者に対する退職金への課税とのバランスを失することになります。

そこで、平成24年改正において特定役員等の退職所得の計算上、1/2を乗じないように規定しました。退職所得の計算において住民税のみならず、所得税でも同様の規定が設けられています。

参考:国税庁|役員等の勤続年数が5年以下の者に対する退職手当等

退職所得控除の計算における、勤続年数の考え方

退職所得控除額は勤続年数によって計算式が下表のように異なります。なお、勤続年数は月単位で1年に切り上げとなります。そのため、例えば20年1ヶ月で退職した場合でも、1か月を1年として切り上げて21年とみなします。

勤続年数 計算式
20年以下 40万円×勤続年数 (80万円未満の場合は、80万円)
21年以上 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

住民税額の計算例

それでは、特定役員等を除いた一般的なケースでの退職所得にかかる住民税を計算してみましょう。

勤続年数13年2ヶ月、退職金支給額1500万円の場合

退職所得控除額は、40万円×14年=560万円となります。

そして、退職所得は(1500万円-560万円)×1/2=470万円となります。

最後に、住民税額は470万円×10%=47万円となります。

勤続年数27年8ヶ月、退職金支給額3000万円の場合

退職所得控除額は、800万円+70万円×(28年-20年)=1360万円となります。

そして、退職所得は(3000万円-1360万円万円)×1/2=820万円となります。

最後に、住民税額は820万円×10%=82万円となります。

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まとめ

このように、住民税は前年の所得に対して今年の住民税を計算するために、転職で給与が下がったり、退職して無職になったりした場合でも、高い給与に基づいた住民税を支払うことになります。そのため納付方法の手続きは慎重に行わなければなりません。

転職・退職した者が行うこととしては会社に住民税の手続きを依頼することですが、担当者がミスをしてしまうと自分が全く余儀しなかった支払い義務が生じてしまいます。納期限を過ぎても納付すべき住民税が支払えないままだと、納期限から20日以内に督促状が届き、延滞金が課せられる事態にもなりかねません。

納税者自身としてやるべきことは、住民税に関する最低限の知識を身に着けるとともに、転職・退職の際には手続きの担当者と円滑なやり取りができる体制を作っておくことで、不測の事態から自分を守れるようにしましょう。

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