転職時の手続き

なぜ転職先に源泉徴収票を提出?理由やトラブル解決法を紹介!

転職した際、転職先の会社から前職での源泉徴収票の提出が求められます。

今回は、源泉徴収票とはどういったものなのか、転職した際に源泉徴収票は必要なのかなど、源泉徴収票に関する様々な事項について詳しく解説します。

源泉徴収票とは

転職や退職の際、年末調整が終わった際にも源泉徴収票をもらいますが、書かれている数字や記載内容の意味を知っている人は少ないと思います。

源泉徴収票とは収入額と負担した所得税額を証明する書類

源泉徴収票は、会社から支払われた給与や賞与などの総支給額と、そこから差し引かれた雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料などの社会保険料、扶養控除や保険料控除など所得税の金額の計算根拠となる資料が記載された書類のことです。

源泉徴収票を見ると、会社から自分に対していくらの金額が支払われていて、その中からいくらの所得税を納付しているのか一目で分かるようになっています。

会社勤務の人の所得税は源泉徴収によって納付する

所得税は個人が得た給与や賞与に対して課税されるものなので、納税義務は個人にあります。そのため、本来であれば個人が毎月、税務署へ納税すべきものです。

しかし、毎月の納税額の把握や納付まですべてを個人にゆだねてしまうと手間がかかりますし、納税漏れが頻発することにより、年金財政に大きな支障をきたす恐れも考えれます。さらには納税を管理する税務署の方も国民一人ひとりの毎月の納税額、納期限までの支払いの有無を管理するのは限界があります。

そこで、会社が給与などを個人に支払う前に税金を差し引いておき、会社が納税を代行する源泉徴収制度を採用しています。

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年末調整とは

たいていの人にとっては年末調整の手続きにより会社から数千円程度が振り込まれるため、「年末調整=会社からお小遣いがもらえる」ような印象を持たれがちですが、それは大きな間違いです。年末調整の本来の意味を知らない人も多いのではないかと思いますので、年末調整について詳細にご説明をします。

1年間の所得を計算し、所得税を決定する役割

企業は一人ひとりの1年分の収入を予想して、それに応じた所得税を毎月天引きした額を給与として支給します。従業員全員から天引きした所得税について、給与を支払った月の翌月10日までに税務署へ納付しています。

所得税の源泉徴収は、1年間の給与や賞与といった収入を予想して、それにもとづく所得税を毎月仮払いしています。

そして、年末になると実際の支給額が確定するので、その時点で毎月仮払いしてきた所得税の額と、実際課税される所得税の額とを照らし合わせ、差があれば還付もしくは追加で支払いをします。これが年末調整です。

つまり、年末調整後の所得税額(源泉徴収税額)が書かれた源泉徴収票は、1年間の収入とそれに基づく所得税額が一目で分かる、年間所得税の計算結果を表したものです。

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転職・退職したら源泉徴収票の提出は必要?

転職や退職をした際には会社から源泉徴収票をもらいます。もらった源泉徴収票にはどのような意味があるか、またそれらの源泉徴収票の提出の必要性について解説します。

所得税の計算のために提出が必要

先ほど述べた話と重複しますが、所得税は1年間の給与等による収入を元に計算します。

1年の途中で転職した場合も、前職での収入と転職先での収入を合算した年収から所得税を算出する必要があります。そのために転職先でも、前職での収入や仮払いした所得税額を把握する必要があります。

転職者の所得税に関して転職先の会社から年末調整してもらうためには、退職した会社からもらった源泉徴収票と、現在の勤務先での毎月の給与等の支払額や天引きした所得税などを元に行います。

前職で年末調整を済ました場合は提出する必要はない

まれなケースですが、年末調整の必要がないときは転職先に源泉徴収票を提出する必要がありません。

たとえば、11月末日で前職を退職し、その月の給与が12月中に支払われ、退職の際に年末調整も行ってもらったとします。12月は新しい勤務先で就業し、その分の給与は翌月の決まった日に支払われる場合には新しい勤務先で年末調整をする必要がありません。給与支給日が労働契約等で確定している場合については、収入確定日は給与支給日になります。この例の場合は12月分の給与は「翌年」の年末調整の時に考慮すべきものとして判断されます。
このように1年間の収入総額や支払うべき所得税額が前職で確定しているときにはわざわざ年末調整をあらためて転職先で行う必要はありません。
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退職時に受け取る2枚の源泉徴収票の種類

退職時に源泉徴収票を2枚受け取る人がいらっしゃいます。源泉徴収票には甲欄と乙欄の2種類、退職金と給与分の2種類に分類することができます。あまり詳しく見ない人も多いかと思いますので、それぞれに分けてご説明します。

「甲欄と乙欄」の2種類の源泉徴収票

両者の違いは一体何か

甲欄と乙欄の源泉徴収票の違いは、勤務先の会社に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出したかどうかによって分かれます。甲欄の源泉徴収票を発行した会社には給与所得者の扶養控除等申告書を提出していますし、乙欄の源泉徴収票を発行した会社には当該申告書を提出していません。

甲欄と乙欄の源泉徴収票が発行される場合

それではどのような場合に甲欄の源泉徴収票と乙欄の源泉徴収票が発行されるかというと、年の途中で転職した場合や、複数の会社に勤務されている場合が該当します。給与所得者の扶養控除等申告書は1か所の勤務先にしか提出できませんので、上記の場合には甲欄と乙欄の源泉徴収票が発行されるわけです。

両方の源泉徴収票の取り扱い

12月末の段階で会社に勤務している場合には、原則として転職先の会社の担当者に2枚の源泉徴収票を提出し、年末調整をしてもらいます。また、先述の源泉徴収票の提出が不要な例として挙げたように、前職で年末調整を済ませ、年間の総収入額や所得税額が確定した場合には源泉徴収票を両方とも提出する必要はありません。

「給与所得と退職所得」の2種類の源泉徴収票

もし年末までに退職された場合には、給与や賞与の支払いを受けたことによる給与所得の源泉徴収票、退職金の支払いを受けたことによる退職所得の源泉徴収票の2種類を発行してもらうことになります。それでは、これらの源泉徴収票の提出義務の有無についてご説明します。

「退職所得の源泉徴収票」について

まず退職所得の源泉徴収票ですが、次に転職する会社へ提出する必要はありません。その理由として、退職金に関する所得税については、所得税控除前の退職金の額と前職の勤続年数に基づいて計算されるので、転職後の会社は退職所得にかかる所得税の計算に影響しませんので、わざわざ転職先に知らせる必要がないためです。

「給与所得の源泉徴収票」について

もし12月末までに退職して新たな転職先に勤務している場合は、転職先に給与所得の源泉徴収票を提出し、年末調整を依頼することになります。

ただし先述の源泉徴収票の提出が不要な例として挙げたように、前職で年末調整を済ませ、年間の総収入額や所得税額が確定した場合には給与所得の源泉徴収票を提出する必要はありません。

もし、12月までに新たな転職先が見つかっていない場合には自分で確定申告する必要があります。確定申告に不安の方は、税務署に直接出向いて手続きの問い合わせをするとスムーズに対応してもらうことができ、場合によっては確定申告書提出まで手伝ってくれることがあります。税務署に相談に行かれる際はは繁忙期に入る前の1月をお勧めします。

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源泉徴収票がない場合の対処法

「前の勤務先の源泉徴収票がない!どうしよう!」なんて経験はありませんでしょうか?そんな場合でも慌てなくて大丈夫です。その時の対処法をお伝えします。

紛失した場合は、再発行を依頼しよう

前の職場を退職する際に源泉徴収票をもらいますが、もしも紛失してしまった場合には交付された会社に連絡をして再発行をお願いします。円満退職の場合には比較的スムーズに再交付も進むでしょう。

ただし、会社との間で退職に関するトラブルがあった場合には、なかなか前職の会社にその旨を連絡するのに気が引けることもあるでしょう。そのような場合には、切手を貼った返信用封筒を同封して手紙で依頼するのも一つの手です。

なお、前職の会社にその旨を頼めないなどの理由から源泉徴収票を書き換えたり偽造したりすることは犯罪のため厳禁です。会社が作成した源泉徴収票のデータは税務署や市役所に送信されますので、書き換え・偽造は確実にバレます。

前職の会社が倒産している場合は?

また、前職の会社が倒産したことにより源泉徴収票を受け取れない場合があります。その場合は倒産した会社の財産を管理する破産管財人(裁判所によって選出された弁護士)に請求することで受け取ることが可能です。

倒産したことの通知を受けた際に受け取る破産管財人の氏名およびその者の在籍する法律事務所、その所在地などが記載されています。

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源泉徴収票の見方

会社に勤めている人にはおなじみのものですが、何をどのように見ればいいかわからない人も多いので、最低限確認すべき事項だけ説明します。

支払総額

会社が従業員に対して1年間に支払われた、所得税や社会保険等の天引き前の支払い給与等総額です。この金額の中には基本手当、交通費、残業代、役職手当といった定期的なものだけでなく、賞与、永年勤続慰労金といった、特別の支給金も含まれます。

給与所得控除後の金額

給与所得控除後の金額とは給与所得の金額のことを指します。給与所得の計算にあたっては「支払総額」-「給与所得控除」により計算されます。

給与所得控除、個人事業主で言うところの必要経費に該当するものです。給与所得者の場合は必要経費の計算が非常に難しいということもあって、原則的には先ほどの支払総額に連動した給与所得控除額が決められています。

所得控除の合計額

所得控除には、基礎控除、配偶者控除などが含められます。10月の下旬ぐらいには年間の予想支払額が記載された証明書が郵送されます。それらの合計と、会社から天引きされた社会保険料の合計額を合算したものがこの欄に記載されます。

源泉徴収税額

「給与所得控除後の金額」ー「所得控除の合計額」により計算した課税所得額に所得税率を乗じて1年間に源泉徴収すべき所得税額が計算されます。所得税率は課税所得額によって異なりますし、千円未満の額に関しては切り捨てになります。

所得控除の詳細

「配偶者(特別)控除」や「扶養控除」については、会社が年末調整を行う前に提出を求められる「給与所得者等の配偶者控除等申告書」、「給与所得者等の扶養控除等(異動)申告書」に基づいて計算されます。

また、社会保険料等の金額に関しては会社から天引きされた分だけでなく、個人の確定拠出年金掛け金や親族の介護保険料を負担したなどの場合には、その証明書を提出することによってその分も合算することができます。

さらに、生命保険料の控除額、地震保険料の控除額、介護保険料の控除額、住宅借入金等特別控除額といったものについては、会社から提出が求められる保険料控除申告書とともに、契約先から毎年10月ごろに郵送される年間の控除証明書も提出する必要があります。

ちなみに源泉徴収票に記載のない基礎控除についてですが、これは特別な要件なく国民全員が一律38万円の所得控除になるため、何らかの提出を求められることはりません。

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源泉徴収票に関するよくある質問

源泉徴収票に関する基本的な事柄についてご説明してきましたが、まだまだ疑問が残っているという方もいらっしゃるかもしれません。最後に、源泉徴収票に関するよくある疑問について取り上げていきます。

「源泉徴収票にマイナンバーの記載は必要?」

マイナンバーカードは身分証明書の一つとして利用されるものであり、納税制度、社会保障制度などの公的制度の効率的な利用のためのものです。近年では各種公的書類にマイナンバーの記載が求められるようになりましたが、源泉徴収票にはマイナンバーの記載が求められるのでしょうか?

これに関して、国税庁の回答としては「マイナンバーの記載はしません」と明確にしています。かつては源泉徴収票にもマイナンバーの記載が求められていましたが、個人情報保護の観点から規定を変更しています。

国税庁 法定調書に関するFAQ

「転職先に長期間の無職がばれる?」

源泉徴収票には、途中就職と途中退職の月日を記載する欄があるので、会社に職歴がばれてしまうのはやむをえません。途中就職と途中退職の月日を記載するのは、社会保険の二重加入を防止する必要があるためです。社会保険の二重加入が発覚した時には社会保険関係、税金関係の手続きが非常に煩雑になるので、そちらのほうがご自身、勤務先の会社ともに問題となります。

「源泉徴収票を提出したくないのですが」

また、「年末調整が必要なことはわかっているけど、前職の収入を転職先に知られたくない」とか「副業での収入が会社にバレるのがいや」等の理由で、源泉徴収票を転職先へ提出するのを拒みたいという方がたまにいらっしゃいます。

このようなときは、以下のような理由を会社の担当者に伝えるのもよいかと思います。理由としては正当性があります。

  • まだ源泉徴収票をもらっていない
  • 医療費控除や住宅借入金控除があるので、自分で確定申告する
  • 副収入があるので、自分で確定申告する

しかし、医療費控除や住宅借入金控除は、会社に書類を出せばそれも含めて会社が手続きをやってくれることもあります。提出を求められているのに出さないというのは、その従業員に対していらぬ疑念を持たれる可能性はあります。その点は気をつけてください。

「退職したら源泉徴収票っていつもらえるの?」

源泉徴収票は退職後1か月以内にはもらうことができます。
また、会社を退職する場合は、いつ退職したとしても年末を待たずに、最後の給与額が確定した時点で作成が可能になります。雇用保険の失業給付を受け取る場合でも、転職する場合でも、収入を把握する材料としてこの源泉徴収票が必要です。

退職後1か月経過しても源泉徴収票が届かない場合は、忘れずに必ず会社に請求しましょう。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。何らかの仕事に就職すると必ずもらう機会のある源泉徴収票ですが、意外と知らないことが多かったのではないでしょうか。特に転職に際して手続きを行う際には、源泉徴収票に関してトラブルになるケースは散見されます。

ぜひ、こちらの記事を参考にしていただいて、転職に際しては手続きが滞りなく進められるようにしていただきたいと思います。