仕事の悩み

残業60時間は違法?生活の実態や対処法を紹介!2023年以降は残業代の割増率は1.5倍以上

近年、生産年齢人口の減少や働き方のニーズの多様化といった課題に取り組むために、働き方改革が進められています。働き方改革は全ての企業の重要な経営課題として世の中に認知され、2019年4月1日より働き方改革法案の一部が施行されました。

この関連法の一つに「月60時間を超える残業は、割増賃金率を引上げる」というものがあります。

そもそも、企業は月60時間以上の残業をさせていいのでしょうか。月60時間の残業とはどのような生活で、どう対処すればいいのでしょうか。

この記事では、月60時間残業の生活実態の詳細と残業に関する法律の詳細をご紹介します。

60時間の残業は違法?残業と法律の関係性

残業月60時間は違法にならないのでしょうか?厚生労働省が毎月発表している「毎月勤労統計調査」では、「所定外労働時間」として残業時間の平均を知ることができます。

2019年7月のデータでは、月あたり約10時間と発表されています。「そんなに少ないの?」という印象かもしれません。この調査は会社からの自己申告という形式のため、過少申告されているケースもあります。

しかし、月60時間というと、平均よりかなり長く、場合によっては違法になる場合もあります。

残業の上限月45時間?

そもそも残業とは法定労働時間を超えて働いた時間のことです。法定労働時間とは1日8時間・週40時間までの労働時間のことです。基本的に企業は、社員をこの時間を超えて働かせることができません。

しかし、36協定を結んでいる場合は残業してもよいということになっています。36協定とは正式には「時間外・休日労働に関する協定届」といいます。労働基準法36条により会社は、法定労働時間を超える時間外労働及び休日労働を命じる場合、労働組合と書面による協定を結び、労働基準監督署に届け出ることが義務づけられています。36協定を結ばず残業させる、残業代を支払っていないとなると違法になります。

尚、残業時間には以下のような上限が設定されています。

対象期間 36協定で定められている残業時間
1週間 15時間
2週間 27時間
4週間 43時間
1か月 45時間
2か月 81時間
3か月 120時間
1年間 360時間

1ヶ月では45時間が上限となっています。すると60時間は違法なのでしょうか?実は更に、特別条項付き36協定というものがあります。

特別条項付き36協定で残業上限は撤廃

時間外労働時間の上限設定には例外措置があります。システムの大規模改修の時期や、決算の時期等の繁忙期には、限度時間を超えた残業が発生してしまうことがありますよね。

そこで、36協定の特別条項を活用すると、残業時間を一時的に伸ばすことが可能となります。特別条項付きの36協定を締結することで、1年のうち6ヶ月に限り残業時間の上限規制が撤廃されます。

しかし、1年で6ヶ月限定とはいえ、残業時間が無制限になるのは問題です。この問題を改善するために、働き方改革関連法が成立しました。では、どのように改正されたのでしょうか。

働き方改革関連法で残業時間の上限を制限

これまで1年に6カ月という制限はあっても、特別条項を使えば、月100時間以上の残業でも無制限に認められていました。

しかし、残業代が全額支給だとしても、残業月100時間以上は身体や精神に対する負担が大きすぎます。そこで、労働基準法が見直され、2019年4月から残業時間の上限規制が厳しくなりました(中小企業は2020年4月から)。

厚生労働省丨「働き方改革」の実現に向けて

この改正により、臨時的な特別の事情があり、労使が合意する場合でも次のように上限が決められました。

  • 年720時間以内
  • 複数月平均80時間以内(休日労働含む)
  • 月100時間(休日労働を含む)を超えることはできない

複数月平均で80時間を超えていれば違法になります。

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残業60時間の生活の実態

月60時間の残業といっても、なかなか想像しにくいものです。実際に残業60時間の生活実態とはどのようなものでしょうか。どんな弊害が起こるのでしょうか。

自由な時間が少ない

まずは、残業月60時間の1日のタイムスケジュールを見てみましょう。
9時始業、18時終業の8時間勤務で土日祝日が休みの場合。
通勤に1時間かかる想定すると、どのような生活になるでしょうか。

自己研鑽に時間が使えない

具体的な生活実態を見ると、自由時間が非常に少ないことが分かります。自由時間が少なくなると、どうなるのでしょうか。

心身を回復させる時間が少なく、疲れがたまる一方です。また、家族と過ごす時間も少なくなります。更に、自己啓発の時間も取れず、キャリアの阻害につながります。

残業60時間の影響やリスク

残業月60時間の具体的な生活実態が見えてきたと思います。では、どのような影響やリスクがあるのでしょうか。さらに詳細にみていきます。

残業60時間は過労死ラインに近い

過労死ラインとは、病気や死亡、自殺に至るリスクが高まる労働時間のことであり、それらの害が労働に起因するものだと認定する基準のことを言います。

法律上では、「発症前1ヶ月間に100時間」あるいは「発症前2~6カ月平均で80時間」を超える時間外労働の場合は、業務と発症の関係性を認定できるとされています。

80時間というと、60時間+1時間/日です。残業60時間が常態化すると、かなり過労死ラインに近づいてきているといえます。

健康面(肉体的・精神的)でのリスクがある

では、具体的に健康面ではどのようなリスクがあるでしょうか。
「若いうちは大丈夫」「自分はタフだから」などとごまかしながら長時間労働を続けている人もいるかもしれません。

けれどもそれが常態化すると、心身が悲鳴をあげ、いつしか取り返しがつかなくなることもあります。

心臓や脳の病気にかかることも

労働時間が長くなると、睡眠時間が短くなり疲労回復の機会自体が奪われます。また、ストレスがたまって飲酒や喫煙の量が増えることもあるでしょう。運動をする時間もありません。これらが、循環器系に悪影響を及ぼすと言われています。

さらに体内の動きを調節する自律神経には交感神経と副交感神経があり、仕事をしているときは、交感神経が優位に働いています。交感神経が興奮状態のままだと、血圧の上昇などを引き起こし、心臓や脳の血管が詰まりやすくなります。

つまり、長時間労働が原因で、 脳や心臓の病気の発症リスクが高まるのです。

うつ病になることも

長時間労働が悪影響を及ぼすのは肉対面にかぎった話ではありません。精神もむしばみます。長時間労働による 疲労やストレスの蓄積が原因で、うつ病やパニック障害などの病気を発症するリスクが高まるのです。

うつ病などに関しては、「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」があります。厚生労働省は「強い心理的負荷」となる長時間労働として「発病直前の3カ月間連続して1カ月あたりおおむね100時間以上の時間外労働」などを例示しています。

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残業60時間がきつい時の対処法

残業60時間が常態化していて辛いと感じたら、どうすればいいのでしょうか。辞めたいくらい残業が辛いと感じ出したら、「労働基準監督署に相談」「転職をする」などの行動を起こしましょう。長時間労働が続く職場環境は我慢していても、状況が変わることは期待できません。心身が壊れてしまう前に、自ら行動を起こしましょう。ここでは、辛い長時間労働の常態化からの抜け出し方を解説します。

産業医に相談しよう

過労死や過労自殺を防ぐため、活躍が期待されているのが産業医です。産業医とは労働者の健康管理を行う専門医で、従業員が50名を超える職場は産業医を選任する必要があります。

労働安全衛生法により、脳・心臓疾患の発症を予防するため、長時間労働により疲労が蓄積した労働者に対し、本人の申し出があれば、事業者は医師による面接指導をすることが義務づけられています。基準は、時間外・休日労働時間が100時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められるときです。

産業医のいない小さな会社に勤めていても、不調をやりすごしてはいけません。我慢はせず専門医を頼り、早めにSOSを出すようにしましょう。

残業が多くない会社へ転職活動をしよう

長時間の残業が辛い場合、転職をするのも現状から抜け出す為の一つの手です。心身に大きな影響が及ぶ前に、残業が少ない会社に転職をして、環境を変えてみるのが良いでしょう。では、「残業は少ない会社」はどのように探せばよいのでしょうか。

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残業60時間の残業代と請求方法

長時間残業が常態化していると、残業代の金額は相当な額になるでしょう。しかし、企業によっては正しく払っていないところもあるかもしれません。残業代が正しく支払われていない場合も、泣き寝入りすることなく、正しい知識を持って対応しましょう。次の項目で「残業代の計算方法」や「残業代の請求」に関する解説を行います。

残業代の計算式

残業代の計算方法は以下の通りです。

残業代=1時間当たりの賃金(時給)×割増率×残業時間

なお、割増率は通常25%ですが、残業が月60時間を超える場合は50%に引き上がります。

残業の種類 割増率
法定時間外労働 25%
法定時間外労働が月60時間を超えた場合に、60時間を超えた時間分 50%
深夜労働(22時~翌5時) 25%
休日労働(法定休日) 35%

例えば、1時間あたりの賃金が2,000円の人が月60時間残業した場合、

2,000円(時給)×125%(割増率)×60時間(残業時間)=150,000円(残業代)

となります。

2023年以降は中小企業も時間外手当割増率が50%に

法定時間外労働が月60時間を超えた場合、60時間を超えた時間分については「50%」の増率で割増賃金の支払いを行うことが労働基準法上で定められています。これまでは、中小企業の支払い能力などを考慮して、労働基準法第138条に規定する中小企業には適用が猶予されていました。しかし、今回の働き方改革関連法施行により、2023年4月1日以降は中小企業も例外ではなくなりました。

【改正前】
月60時間超の残業割増賃金率 大企業は 50% 中小企業は25%

【改正後】※中小企業の割増賃金率を引上げ
月60時間超の残業割増賃金率 大企業、中小企業ともに50%

※「中小企業」とは、『資本金の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5000万円,卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主、またはその常時使用する労働者の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主については50人,卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下である事業主をいう。』とされています。

残業代の請求の時効は2年間

ブラック企業やサービス残業と言った言葉を聞くように、違法に残業代を払わない企業もあります。残業代が正当に支払われていない場合、 過去にさかのぼって、未払い分の残業代を請求することができます。

しかし、残業代請求には2年間という時効があります。尚、不法行為があると、残業代として請求するのではなく、損害賠償として請求することとなり、3年間に延長されます。いずれにせよ、少しでも早く行動しましょう。

事前にタイムカードや入退館履歴、メールの送信履歴などから過去2年分の勤務実績の証拠を集めておくことが重要です。残業代の請求は、個人でも手続きを行えますが専門知識が必要となるので、弁護士などの法律の専門家に相談をするのが確実でしょう。

みなし残業でも残業代は請求できることも

残業代を固定で支払う「みなし残業」を採用している場合でも、残業代を請求する事が出来るケースがあります。

みなし残業手当とは、例えば20時間の残業代を含むというように設定され、実際に20時間残業していなくても支払われる手当のことをいいます。

会社が「みなし残業」を採用する場合、みなし残業とされる時間は予め決められているので、 超過をした分に関しては請求が行えるのです。自分の会社は「みなし残業」だからと諦めずに、請求をしましょう。

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まとめ

今回は残業60時間の生活実態や対処法について紹介しました。

月60時間以上の残業は条件によっては違法となり、健康被害のリスクもあります。長時間残業が辛い場合は、転職や外部機関への相談等自分にとって一番より対処方法をとりましょう。