「顕著(けんちょ)」には、「はっきりと表面に表れる様」や「際立って目立つこと」という意味があります。「顕著に表れる」という言葉は、ビジネスシーンでもよく耳にすることでしょう。
今回は、「顕著」の意味や正しい使い方について詳しく解説していきます。
特に、コミュニケーションが重要なビジネスシーンでは、相手を持ち上げるポジティブな「顕著」が便利です。例文もたくさん紹介していますので、ぜひご活用ください。
「顕著」の意味・使い方
【読み】けんちょ
【意味】
- 特に際立って目に付く様子
- 誰が見ても明らかな事柄
「顕著」とは、「誰が見てもはっきりと明らかなことが分かる」という意味で使用します。
「顕」と「著」という言葉には、どちらも「(色や形などが)明らか」という意味があり、両者が組み合わさって、「特に際立って目に付く」という強調した意味となっています。
「顕著」という言葉を使うときは、後ろに「表れる」という語句をつけ、「顕著に表れる」と表現することが一般的です。
「顕著」の使い方・例文
「顕著」の正しい使い方を見ていきましょう。
ここでは、次の通り、「顕著」を使った4つの例文を考えてみました。ビジネスシーンでもよく使う言葉となるため、慣用句として覚えておくと便利です。
例文
- 組織の弱体化が顕著である
- 精神的に追い込まれた彼の苦しさが、その顔色に顕著に表れている
- 近頃、鈴木さんの横柄な態度が顕著に表れてきた
- 少子高齢化を示す顕著な事件だった
このように、「顕著」の正しい使い方は、「顕著である」「顕著に」「顕著な」が代表的です。また、熟語表現として、「顕著に表れる」という言葉もよく耳にします。
「顕著に表れる」については、以下でより詳しくお伝えしていきましょう。
「顕著」が使われる熟語
「顕著」を使って熟語を作ると、次のような表現が一般的となります。
- 顕著に表れる
- 顕著に見て取れる
基本的に、「顕著に表れる」という使い方が一般的ですが、ビジネスシーンなどでは「顕著に見て取れる」という熟語も使うことがあるでしょう。どちらも「顕著」の熟語表現として覚えておいて損はありません。
「顕著に表れる」の意味
「顕著に表れる」とは、「顕著」と同じく「表面にはっきりと表れる」という意味です。
「顕著」という言葉は、もともと「はっきりと表れる様」という意味があります。そのため、「顕著」と「表れる」を組み合わせて使うと、二重表現(頭痛が痛いなど)になると考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、実は「顕著に」と「に」を付けるだけで、その意味は「明らかに」「はっきりと」となります。つまり、「顕著に表れる」は「明らかに表れる」という意味となり、二重表現ではありません。
「顕著に見て取れる」の意味
「顕著に見て取れる」という用法も、「はっきりと表れる」という意味があります。
ただし、「顕著に表れる」よりも、少しだけ客観的な目線が加わっていることが特徴です。そのため、意味としては、「はっきりと表れる」というより、「はっきりと判別できる」というニュアンスが強くなります。
「顕著」と「如実」はどんな違いあるの?
「顕著」とよく似た言葉に、「如実(にょじつ)」があります。
「如実」も語尾に「表れる」という言葉を付け、「如実に表れる」という熟語がよく使用されます。しかし、「顕著に表れる」という言葉の意味とはまったく異なるので、注意してください。
「如実」には、「事実そのもの」「現実の通りである様」という意味が含まれています。
そのため、「如実に表れる」とは、「事実そのものが表れる」「実際のものが表れる」という意味です。「顕著に表れる」は「はっきり表れる」という意味があったので、似たような言葉でも内容が異なることが分かります。
「顕著」の類義語・対義語

「顕著」には次の通り、3つの類義語と2つの対義語が存在します。
- 類語①著しい
- 類語②明瞭
- 類語③際立つ
- 対義語①隠微
- 対義語②漠然
類語①「著しい」
「著しい(いちじるしい)」も「顕著」と同じく、「目立ってはっきりしていること」や「明らか」という意味があります。しかし、ニュアンスとしては、「顕著」よりも柔らかい印象を受けます。
「著しい」を使った例文は以下をご覧ください
- 著しい性質が表れている
- 経済環境が著しく変化した
- 日本や中国、韓国においてそういった傾向が著しかった
類語②「明瞭」
「明瞭(めいりょう)」には「はっきりと見分けが付く」という意味があります。
「顕著」と同じく硬いイメージがありますが、ときに言葉を使い分けることで仕事が出来るという他者へのアピールにも役立ちます。「無駄のないはっきりした様子」という意味の、「明瞭化」や「明瞭簡潔」という言葉も覚えておきましょう。
- 組織としての目的が明瞭になる
- 善か悪かということは明瞭に区別できるようなものではない
- なかなか明瞭に表面に表れてこない
類語③「際立つ」
「際立つ(きわだつ)」とは、「他のものと区別してはっきりと目立つ様子」という意味です。
「ひときわ目立つ」という意味から、「顕著」とよく似た使い方をします。「際立つ」はポジティブな意味合いで使うことが多く、反対にネガティブ寄りの「目立つ」とは少し使い方が異なります。
- 料理の香りが際立つ
- 真っ白な顔がより際立って見えた
- その会社の特徴が際立っている
対義語①「隠微」
「隠微(いんび)」とは、「なかなか表面に表れず隠れている様子」という意味です。
「顕著」とは反対の意味を持ち、「ぼけた」「うっすらとした」という言葉にも当てはまります。同音異義語に「淫靡(いんび)」という言葉があり、勘違いされないよう「隠微」は女性に対して使わないほうが賢明です。
- その感情が隠微のうちに現れた
- 個人的な不満をノートに書くくらいの隠微さなら許せるだろう
- 電話の声には、とても隠微で緊張した色が表れていた
対義語②「漠然」
「漠然(ばくぜん)」は、「(考えや気持ちが)ぼやけて分かりにくいこと」「はっきりとしていない様子」を表します。
「漠然とした不安」という表現は日常でもよく目にします。この例のように、どちらかといえばネガティブな表現に使われます。また、「曖昧」や「抽象的」という言葉に置き換えることも可能です。
- なんともいえない漠然とした寂しさ
- その時代には法律のようなものがなく、人は漠然としてしか扱われていなかった
- 根拠なき漠然とした思いにとらわれている
「顕著」の英語表現

「顕著な」と英語で表現すると、「remarkable」や「striking」、または「conspicuous」などのようになります。
「顕著な」の英語表現のニュアンスの違い
「remarkable」「striking」「conspicuous」はいずれも「顕著な」という意味がありますが、それぞれ言葉のニュアンスが異なります。ここでは、例文を使いながら正しい使い方をお伝えしていきましょう。
例文①:「remarkable」
「remarkable」には、「顕著な」という意味のほか、「すぐれた」「非凡な」「珍しい」という訳し方があります。今回お伝えする「顕著」の英語表現では、もっともポジティブで、相手を褒めるときに最適です。
- a remarkable movie
最高の映画 - How remarkable!
これは驚いた!
例文②:「striking」
「striking」もポジティブなニュアンスがあります。「顕著」という意味以外にも、「印象的な」「著しい」という訳し方があり、「独創的で他とは違う印象を受ける」という形で使うと良いでしょう。
- a striking resemblance
顕著な類似点 - intelligence of striking and extraordinary ability
奇抜な知恵
例文③:「conspicuous」
「conspicuous」には「目立つ」という意味合いが含まれており、どちらかといえば「悪い意味で表面に表れる」というニュアンスがあります。そのため、人を褒めるときには使用せず、次のような形で用いるとよいでしょう。
- conspicuous errors
目立つ誤り - of a fold in clothes being conspicuous
衣服の折り目が目立つ
まとめ
今回は「顕著」という言葉の意味や使い方についてお伝えしてきました。
「顕著」には、「はっきり表れる」「際立って目に付く」という意味があります。ビジネスシーンでも、相手を持ち上げるときに活用できるので、今回お伝えした例文をご参考ください。
ただし、よく間違えがちな「如実に表れる」とは意味が大きく異なるため、上手に使い分けるようにしましょう。
また、「顕著」の類語や対義語、英語表現についてもおさらいし、様々なシーンで活用するようにしてください。
- 類語①「著しい」
- 類語②「明瞭」
- 類語③「際立つ」
- 対義語①「隠微」
- 対義語②「漠然」
- 英語表現①「striking」
- 英語表現②「striking」
- 英語表現③「conspicuous」
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