業界研究

【3分でわかる】鉄道業界の課題や動向は?主要企業の比較やランキングも紹介

世界で最高水準の技術力を誇る日本の鉄道業界。就活市場でもJR東日本を中心に鉄道業界は毎年人気が高い業界です。

今回は、そんな鉄道業界の仕組みや課題、今後の動向などを詳しく解説します。また、主要企業の比較や売上・年収ランキングも紹介します。ぜひ最後まで御覧ください。

鉄道業界について

鉄道業界の概要

人やモノを運ぶ輸送インフラのひとつ

鉄道業界は、一言で表すと「人やモノを運ぶ輸送インフラのひとつ」です。鉄道は、航空や船舶、自動車など人々やモノを運ぶ手段のひとつで、特に首都圏では人々の通勤・通学を支えています。その安定性から、人の輸送だけでなく貨物輸送も行われています。

また、日本の都心部では経済規模や地理的要因により鉄道利用の依存度が高く、大きな鉄道需要をもたらしています。

市場規模は7.7兆円

総務省統計局によると、鉄道業界の2017年の市場規模は前年度比2.1%増の7.7兆円でした。これは全体の運輸業・郵便業の年間売上高64兆円のうち、12%を占めます。ちなみに、7.7兆円は通販・EC市場と同等の規模です。なお、鉄道業界に従事する事業従事者数は約21万人で、前年度比で3.3%減少しています。
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総務省統計局丨サービス産業動向調査

※ページ下部の「業界別売上高ランキング」は上場企業を中心とした企業のみを対象に弊社が独自に作成しているため、上記数字と相違があります。

鉄道業界の構造

4つの経営母体

鉄道会社はJRと私鉄だけではなく、実は経営母体によって以下4つの事業者に分けられます。

  1. JR
  2. 私鉄
  3. 第三セクター
  4. 公営鉄道

JRは、言わずと知れた国内最大の事業規模を誇る鉄道事業者です。かつては日本国有鉄道(国鉄)として官営でしたが、地方などで赤字路線が相次ぎ、1987年に分割民営化されました。主な事業者は、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州、JR貨物などが挙げられます。

私鉄は、完全に民間企業で運営している鉄道会社で、国からの支援は受けていません。JRとは異なり、短距離輸送が多く都心部を中心に運営しています。なお、鉄道以外にも飲食や小売など多角的に事業を展開する企業も多いです。主な事業者は、関東では京王電鉄、小田急電鉄、東武鉄道、関西では阪急電鉄や近畿日本鉄道、東海では名古屋鉄道、九州では西日本鉄道などが挙げられます。

第三セクターは、新規インフラ整備のための都市開発や、地方の赤字路線などのインフラ維持などが目的で、国や県などの公営団体(第一セクター)と民間企業(第二セクター)の共同出資で設立された鉄道会社です。ゆりかもめや多摩都市モノレール、岩手県の三陸鉄道、茨城県のつくばエクスプレスなどが主な事業者です。

公営鉄道は公営企業や地方自治体が運営しており、特に人口が多い自治体が経営母体になることが多いです。インフラの整備に大幅なコストががかる地下鉄や路面電車などを中心に運営しています。主な事業者として、日暮里・舎人ライナーなどを運営する東京都交通局や横浜市交通局(地下鉄)や、鹿児島市交通局や熊本市交通局(路面電車)が挙げられます。

鉄道会社の収益源は運賃

鉄道会社の売上のうち、大半は運賃などによる運輸事業が占めていますが、実は運輸業以外にも収益源は存在します。

2019年3月期のJR東日本のセグメント別売上高を見てみると、67.9%は「運輸事業」、17.4%は駅ナカ事業や広告業などの「流通・サービス業」、11.6%はアトレやルミネなどのショッピング事業やメトロポリタンなどのホテル事業などの「不動産・ホテル事業」で構成されています。
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JR東日本丨2019年3月期有価証券報告書から作成

鉄道業界の歴史

鉄道業の幕開けは明治初期

日本の鉄道の歴史は約140年続いており、時速30キロで走行する蒸気機関車から、時速300キロで走行する新幹線の実現まで、技術の発展が著しい産業です。

明治維新直後は、伊藤博文や大隈重信は鉄道建設の計画を進めました。日本で始めて鉄道の営業が始まったのは明治5年9月12日(1872年10月14日)新橋−横浜間ですが、明治5月7日(1872年6月12日)は伊藤博文などを乗せ品川−横浜間で試験的な運転が実施されています。
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鉄道業界の課題

通勤・通学電車の混雑

近年の鉄道業界の大きな課題として、首都圏の通勤・通学電車の混雜が挙げられます。高度経済成長期以降、都市部の人口増加に伴い、通勤・通学時の混雜化は社会問題となりました。国土交通省の調査によると、混雑率の1位は東京メトロ東西線(199%)、2位はJR横須賀線の武蔵小杉→西大井(197%)、3位はJR総武線の錦糸町→両国(196%)となっています。
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国土交通省丨三大都市圏主要区間の平均混雑率

上記の推移を見てみると、バブル期に計画された平成以降の新線の建設や線路増設により、一時期より混雑は緩和しています。しかし、東西線などの一部の路線では未だ混雑率は高く、今後も輸送力の強化が課題となっています。

安全設備の整備とバリアフリー

鉄道業界にとって安全性は至上命令であり、多くの事故を経験に安全的な鉄道システムが作り上げられてきました。ホームからの転落事故や電車に巻き込まれる人身事故などを未然に防ぐため、各事業者はホームドアなどの安全設備の整備が進めていますが、スケジュール通りに進行していないのが現状です。また、高齢化が進んでいる日本ですが、未だエレベーターやエスカレーターがない駅も多く存在します。超高齢化社会に突入した日本では、鉄道のバリアフリー化は喫緊の課題として挙げられています。

広がる地方格差

地方の鉄道では、利用者減少により経営がますます厳しくなっています。人口の減少や車利用の定着化により、利用者が減り続けている鉄道会社は多く、赤字のまま経営している鉄道も少なくありません。その中で、各地方の鉄道会社はユニークな施策を打ち出しており、代表的な施策として和歌山電鐵の猫の駅長が挙げられます。

鉄道業界の将来性・動向

有料特急など、付加価値サービスで収益向上

鉄道会社は輸送力の強化に長年取り組んできましたが、近年は単なる輸送に付加価値を加えたサービスでさらなる収益アップを狙っている時代に突入しています。例えば、高速性の向上が挙げられます。小田急電鉄や京王電鉄の有料特急や小田急電鉄のロマンスカー、東上線のTJライナーなどがその例です。

加速する「駅ナカ」事業

鉄道用地の活用が急速に進んでいますが、特に駅構内の商業施設「駅ナカ」の開発に各社注力しています。コンビニやドラッグストア、飲食店やファッションショップなど幅広い分野の施設が展開されています。JR東日本ではステーションルネッサンスを拡大中で、東京メトロでは池袋や表参道でEchikaが開業しました。

鉄道業界のランキング

業界内の会社のランキング

順位 会社名 売上
1位 JR東日本(東日本旅客鉄道) 3兆20億円
2位 JR東海(東海旅客鉄道) 1兆8781億円
3位 JR西日本(西日本旅客鉄道) 1兆5293億円
4位 近鉄 1兆2369億円
5位 東急(東京急行電鉄) 1兆1574億円
6位 阪急阪神ホールディングス 7914億円
7位 名鉄(名古屋鉄道) 6226億円
8位 東武鉄道 6175億円
9位 近鉄エクスプレス 5920億円
10位 西武鉄道 5659億円
11位 小田急電鉄 5267億円
12位 京王電鉄 4475億円
13位 JR九州(九州旅客鉄道) 4404億円
14位 西鉄(西日本鉄道) 3968億円
15位 京急(京浜急行電鉄) 3393億円
16位 京阪ホールディングス 3262億円
17位 京成電鉄 2616億円
18位 相鉄(相模鉄道) 2605億円
19位 南海電気鉄道 2274億円
20位 神奈川中央交通 1148億円
21位 山陽電気鉄道 515億円
22位 広島電鉄 365億円
23位 神戸電鉄 230億円
24位 新京成電鉄 214億円
25位 新潟交通 198億円
26位 京福電気鉄道 124億円
27位 秩父鉄道 52億円

順位 会社名 平均年収
1位 相鉄(相模鉄道) 900万円
2位 阪急阪神ホールディングス 877万円
3位 京阪ホールディングス 816万円
4位 西武鉄道 814万円
5位 近鉄 804万円
6位 小田急電鉄 764万円
7位 近鉄エクスプレス 762万円
8位 京成電鉄 744万円
9位 東急(東京急行電鉄) 737万円
10位 JR東海(東海旅客鉄道) 735万円
11位 JR東日本(東日本旅客鉄道) 715万円
12位 東武鉄道 714万円
13位 京王電鉄 713万円
14位 新京成電鉄 710万円
15位 京急(京浜急行電鉄) 695万円
16位 JR西日本(西日本旅客鉄道) 669万円
17位 南海電気鉄道 610万円
18位 名鉄(名古屋鉄道) 605万円
19位 西鉄(西日本鉄道) 568万円
20位 山陽電気鉄道 566万円
21位 JR九州(九州旅客鉄道) 550万円
22位 広島電鉄 537万円
23位 京福電気鉄道 532万円
24位 神奈川中央交通 528万円
25位 神戸電鉄 512万円
26位 秩父鉄道 414万円
27位 新潟交通 405万円
※この記事の平均年収や売上情報などは、「有価証券報告書」を中心に、弊社が独自に調査した3000社の企業を対象に行なったものです。こちらをご理解の上、ご活用ください。

業界ごとのランキング

順位 業界名 合計売上高
1位 総合電機・電子・機械関連 119兆4995億円
2位 自動車・輸送用機器 115兆1314億円
3位 化学・素材・バイオ 61兆7608億円
4位 総合商社 56兆212億円
5位 小売・百貨店・その他 53兆3059億円
6位 銀行・信金 40兆4391億円
7位 コンピュータ・通信 39兆7851億円
8位 鉄鋼・金属・鉱業 35兆9034億円
9位 電力・ガス・エネルギー 34兆3644億円
10位 保険 34兆357億円
11位 航空・鉄道・輸送 32兆6523億円
12位 食品・飲料 31兆1554億円
13位 不動産・住宅・建材 29兆6015億円
14位 医薬品・医療関連 26兆3098億円
15位 建設 23兆2969億円
16位 鉄道 15兆5041億
17位 SIer・システム開発 13兆1047億円
18位 紙・印刷・書籍 10兆1745億円
19位 専門商社・メーカー 9兆3888億円
20位 アパレル・繊維 8兆7113億円
21位 コンビニ 8兆3524億円
22位 金融・消費者金融・その他 8兆1892億円
23位 インターネット・情報サービス 6兆8705億円
24位 飲食 6兆4214億円
25位 日用品・化粧品 6兆457億円
26位 ゲーム・玩具 4兆388億円
27位 証券・投資関連 3兆9352億円
28位 放送・出版・芸能 3兆4602億円
29位 旅行・ホテル・レジャー 3兆3384億円
30位 広告 3兆1641億円
31位 人材サービス 2兆7912億円
32位 インテリア・雑貨・スポーツ 2兆4206億円
33位 警備・保守 1兆8292億円
34位 教育・研修 1兆1937億円
35位 通信販売・商品取引 9930億円
36位 BPO・コールセンター 9597億円
37位 コンサルティング 8043億円
38位 監査法人・税理士法人・法律事務所 7544億円
39位 病院・医療機関 7043億円
40位 環境サービス 5248億円
41位 製造・工場 4591億円
42位 介護・福祉 4088億円
43位 農業・林業・水産・畜産 3264億円
44位 美容 2715億円
45位 観光総裁 1235億円
46位 NGO・NPO 123億円

順位 業界名 平均年収
1位 総合商社 1,354万円
2位 コンサルティング 1,003万円
3位 放送・出版・芸能 871万円
4位 証券・投資関連 787万円
5位 医薬品・医療関連 719万円
6位 電力・ガス・エネルギー 696万円
7位 建設 691万円
8位 保険 687万円
9位 鉄道 666万円
10位 金融・消費者金融・その他 662万円
11位 化学・素材・バイオ 654万円
12位 総合電機・電子・機械関連 650万円
13位 銀行・信金 649万円
14位 コンピュータ・通信 639万円
15位 自動車・輸送用機器 632万円
16位 不動産・住宅・建材 630万円
17位 日用品・化粧品 627万円
18位 航空・鉄道・輸送 626万円
19位 鉄鋼・金属・鉱業 624万円
20位 SIer・システム開発 621万円
21位 ゲーム・玩具 617万円
22位 病院・医療機関 614万円
23位 コンビニ 614万円
24位 食品・飲料 611万円
25位 インテリア・雑貨・スポーツ 602万円
26位 BPO・コールセンター 595万円
27位 紙・印刷・書籍 584万円
28位 広告 579万円
29位 環境サービス 574万円
30位 専門商社・メーカー 569万円
31位 インターネット・情報サービス 560万円
32位 通信販売・商品取引 550万円
33位 教育・研修 548万円
34位 NGO・NPO 543万円
35位 アパレル・繊維 538万円
36位 監査法人・税理士法人・法律事務所 531万円
37位 観光総裁 527万円
38位 旅行・ホテル・レジャー 524万円
39位 飲食 513万円
40位 小売・百貨店・その他 511万円
41位 人材サービス 499万円
42位 警備・保守 488万円
43位 製造・工場 480万円
44位 介護・福祉 452万円
45位 農業・林業・水産・畜産 423万円
46位 美容 414万円
※この記事の平均年収や売上情報などは、「有価証券報告書」を中心に、弊社が独自に調査した3000社の企業を対象に行なったものです。こちらをご理解の上、ご活用ください。

鉄道業界の主要企業

JR東日本(東日本旅客鉄道)

会社名 JR東日本(東日本旅客鉄道)
本社所在地 東京都渋谷区代々木2−2−2
会社URL http://www.jreast.co.jp/
代表者 深澤 祐二
資本金 200,000百万円
従業員 72402人
売上高 3兆20億

世界最大規模の輸送インフラ

JR東日本は、国内だけなでなく世界でも最大規模の鉄道会社です。1都16県で運営する約70もの在来線と北陸・上越・東北・山形・秋田の5つ新幹線を手掛けています。JR東日本年間の輸送人員は64億人で、ドイツは20億人、イギリスは16億人と2位に3倍以上の規模を誇っています。

東日本旅客鉄道の売上高・業績
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JR東海(東海旅客鉄道)

会社名 JR東海(東海旅客鉄道)
本社所在地 名古屋市中村区名駅1−1−4 JRセントラルタワーズ
会社URL http://jr-central.co.jp/
代表者 金子 慎
資本金 112,000百万円
従業員 29128人
売上高 1兆8781億

東名阪間を支える「東海道新幹線」

JR東海は、東京・名古屋・大阪間を結ぶ東海道新幹線と名古屋・静岡エリアの在来線を運営しています。日本の経済を牽引する都市を結ぶ鉄道網を扱う東海道新幹線の存在感は強く、JR東海東海の運輸事業の収益の約90%を占めています。

東海旅客鉄道の売上高・業績
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