「伏線」という言葉、正しく使えていますか?
ドラマや小説が好きな方は「伏線を回収する」なんていう使い方をすることもあると思います。
今回は、「伏線」の意味や使い方、類義語や対義語、英語例文を踏まえて説明していきたいと思います。
「伏線」の意味が分かれば、ドラマや小説の伏線となる部分にも敏感になり、洞察力も高められるはずです!
伏線の意味・使い方
【読み】ふくせん
【意味】
- その後の展開に備えてそれに関連した事柄を前のほうでほのめかしておくこと
- その後の展開がうまく行くように、前もって用意しておくこと
①その後の展開に備えてそれに関連した事柄を前のほうでほのめかしておくこと
伏線の1つ目の意味を簡単に説明すると、「なんとなくそれっぽいことを臭わせる」というような感じです。
ドラマや小説で最終的に回収される伏線は、まさにこの伏線のことを指します。
この意味で使われる例文をいくつか紹介いたします。
例文
- 犯人が○○だという伏線は第6話の遊園地のシーンにあった!
- 全ての伏線が回収され、話のつじつまが合った!
- このドラマは伏線が張られすぎて、誰もが怪しく見える。
- この物語の最大の見どころは、クライマックスの伏線回収のシーンだ!
- あのシーンは、◇◇が犯人でないことを示す伏線のような気がする。
この意味の伏線は、主にその後の展開を自分で決められる時に使われます。
それは、ドラマや小説などの創作作品の場合です。
結末を盛り上げていくために、作り手は話の中で様々な伏線を敷いていくのです。
②その後の展開がうまく行くように、前もって用意しておくこと
こちらの意味の伏線は、その後の結果がどうなるか分からないというような時に使われます。
自分が不利な状況に追い込まれないように、保険をかけておくといったようなイメージです。
この意味で使われる例文をいくつか紹介いたします。
例文
- 満員電車内では両手を上げておくことで、痴漢と疑われないように伏線を張っている。
- その選手のインタビューには、現役引退の伏線ともとれるような発言があった。
- 皿を割ったのが自分だと疑われないように、あえて第一発見者のように振る舞い伏線を張っておいた。
- デートの誘いを断られても、その後の関係がこじれないよう、「都合悪いなら大丈夫だから」と伏線を張っておいた。
紹介した例文のように、「悪い結果にならないように」備えるという意味合いが強いです。
悪いのは自分でないのに、自分に疑いをかけられかねない状況ってありますよね。
そんな時に伏線を張れていたか否かで結構大きく結果は変わってくるものです。
伏線が使われる熟語
「伏線」が使われる言葉には、以下のものがあります。
- 伏線を敷く
- 伏線を張る
- 伏線を回収する
伏線を敷くの意味
「伏線を敷く」は、その後の展開をほのめかすという時に使われます。
ドラマや小説などの創作作品で、最終的に「回収される」のが敷かれた伏線です。
対して、「その後の展開がうまくいくように前もって用意しておく」という意味で、伏線を敷くという表現を使うのは誤りです。
伏線を張るの意味
「伏線を張る」のは、その後の結果が確定していない出来事に対して、それがうまくいくように前もって用意をしておくという時に使われます。
ですから、作者の思い通りに展開が左右される創作作品で「伏線を張る」という表現は正しくありません。
伏線を回収するの意味
「伏線を回収する」は、ドラマや小説などの創作作品で、作り手に敷かれてきた様々な伏線の意味が分かり、話のつじつまが合うことを意味します。
最終話とか最終章など、クライマックスの場面で回収されることが多いです。
この伏線の回収が秀逸なほど、物語としての面白さは増します。
伏線と暗示はどんな違いあるの?
伏線と似た意味の言葉に、「暗示」があります。
どちらもはっきりとは伝えないが、それとなく伝える、という意味で使われます。
しかし、「伏線」はある特定の人間が意図をもって、これから起こることをほのめかすという場合に使うのに対し、「暗示」は特定の人間が存在しない場合にほのめかされたことにも使えるという違いがあります。
伏線の類義語・対義語
「伏線」には、次の3つの類語があります。
- 布石
- 対策
- フラグ
類語①「布石」
- 次の試合で勝てるように、布石を打っておく。
- もう一度あの子とデートができるよう、「次もよろしくね」と布石を残した。
- プロジェクトがスムーズに運ぶよう、布石を打った。
類語②「対策」
- 将来の株価暴落に備えて、対策を立てた。
- 台風が直撃するかもしれないので、土嚢を家の前に置いて対策した。
- 熱中症対策が功を奏し、真夏の試合で走り切れた
類語③「フラグ」
- 自分のシュートミスがフラグとなり、終盤に逆転負けを喫した。
- 彼女にフラれたのは、目の前で大いびきをかいて寝ていたのがフラグだったのかもしれない。
- 主人公は普通なら死んでいるシーンだが、周囲の反応が生存フラグばかりだったので、次週生きていることが確認されるだろう。
対義語①「ミスリード」
- スポーツ新聞の一面の見出しは、消費者にミスリードを与えるものも多い
- 先生の説明は、生徒たちをミスリードしてしまうものだった
- そんなつもりはなかったのに、自分の発言がミスリードを生み、大きな問題に発展してしまった
対義語②「明示」
- ルールを明示し、社員全体に周知した
- 先生が「織田信長」はテストに出ると明示していたので、勉強に励んだ
- すべての国民が基本的人権を有していることは、憲法に明示してある。
対義語③「行き当たりばったり」
- あの子はいつも行き当たりばったりで、何も考えていない
- 行き当たりばったりで行動しては失敗することを繰り返している
- 行き当たりばったりな性格の人は、非常に行動的で失敗も多いけど、成功も多い。
伏線の英語表現
「伏線」はその後の展開に関連した出来事を仄めかすという意味で使われるのが一般的です。英語でも、同じような意味で使われることが多くあります。
「ヒント」と「暗示」の意味で訳されることが多い
例文①:hint
「hint」は文字通り、ヒントを表す英語で、転じて伏線という意味にもなります。
In the story of last week , there was a hint that showed he was a prisoner of the great incident.(先週の放送において、彼がその重大事件の犯人であることを示す伏線が敷かれていた)
例文②:foreshadow
「foreshadow」は伏線を張る、暗示するという意味を表す英語です。
He foreshadowed to be absent from school tomorrow by acting like a headache.(彼は、まるで頭痛であるかのように振る舞うことで、明日学校を欠席するための伏線を張った)
例文③:preparation
「preparation」は、用意するという意味の動詞「prepare」の名詞形で、それが転じて伏線という意味を表すことがあります。
This is in preparation for the latter half of the story.(これは物語後半に向けた伏線になっている)
まとめ
この記事で調べた「伏線」という言葉について、おさらいをすると以下の通りです。
- 「伏線」の読み方:ふくせん
- 「伏線」の意味:「その後の展開に備えてそれに関連した事柄を前のほうでほのめかしておくこと」「その後の展開がうまく行くように、前もって用意しておくこと」
- 「伏線」の類義語:「布石」「対策」「フラグ」
- 「伏線」の対義語:「ミスリード」「明示」「行き当たりばったり」
- 「伏線」の英語表現:「hint」「foreshadow」「preparation」
「伏線」という言葉を使う際には、その使い方によって「敷く」なのか「張る」なのか「回収する」なのか、付属する言葉は変わってきます。私たちが生活する中で、一般的によく使うのは「伏線を張る」でしょう。
上手に伏線を張ることで、自分によからぬ疑いが向けられないようにしていきたいですね!